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「ひとえに」の意味とは?漢字は「偏に」?使い方や類語・英語表現を解説!

「ひとえに」は”いちずに”や”もっぱら”などの意味を持つ言葉

部下

ようやくこの一件も片付きましたね!
これもひとえにみんながよく頑張ってくれたからだよ。本当にお疲れ!

上司

部下

いやー、本当に頑張った甲斐がありました。

「ひとえに」とは、“ひとつのことを『ひたすら』打ち込む、あるいは行う”意味の言葉です。別の表現をするなら、「一途に」や「もっぱらに」があります。

若年層にはあまり使われないフレーズですが、年配の人やビジネスシーン、式場や披露宴を始めとしたフォーマルな場所で使われています。必要とされるシチュエーションで正しく使用するために、適切な使い方や類語についても理解していきましょう。

「ひとえに」の類語(言い換え表現)
・ひたすら
・一途に
・もっぱら
・一心不乱に
・まったくもって

「ひとえに」の漢字表記は「偏に」?「一重に」?

「ひとえに」を漢字で書くと「偏に」となります。「偏」は「かたよ(り)」とも読み、”一方に偏る(片寄る)”意味をもちます。「ひとえに」を「一重に」と誤表記するケースがありますが、こちらの意味は”重ならない”であり、「偏に」とは意味がまったく異なります。

「ひとつのことにただひたすら」の意味である「ひとえに」は、言い換えれば”一方に偏って”とも受け取れる言葉です。「ひとえに」の言葉を示す意味があるからこそ、「偏に」が正しい漢字表記になります。

上司

漢字の誤表記が特に多い同音異義語は、一度その漢字の意味を開くと正しい漢字がみえてきます。迷った場合はその言葉の意味と漢字の意味を照らし合わせ、一致するものを覚えよう!

「ひとえに」の使い方・例文

日常会話やビジネスシーンよりも、披露宴やおめでたい席で使用されるケースが多い「ひとえに」。社会人になれば使用する機会も増えるため、新社会人のために「ひとえに」の使い方を例文でご紹介しましょう。

「ひとえに」を使った例文

「ひとえに」を使うシチュエーションは、個人や全体に向けて使用します。例えば結果に対して、「これもひとえに~」と頑張りや努力を褒めたたえるときに使います。主に相手に向けて使用する言葉のため、自分に使用してしまうと”自分のおかげ”と押しつけがましくなります。

ここでは、ビジネスシーンやフォーマルな場での「ひとえに」を使った例文をご紹介します。

「ひとえに」と「おかげ」を使った例文

例文1

課長

昇進おめでとう。
ありがとうございます!これもひとえに課長のご指導のおかげです!

部下

例文2

課長

今回はよく頑張ったね。
はい!これもすべて、ひとえにみなさんが協力してくれたおかげです!

部下

誰か、または周りに対して感謝を述べた使い方です。自分自身やチームの成功、好結果を報告するときに使えます。

「ひとえに感謝」を使った例文

例文1

部下

私がここまで成長してこれたのも課長のおかげだと、ひとえに感謝いたします。
これからもその調子で頑張るんだよ。

課長

例文2

先輩

何とか納期に間に合わせたわね。今度からはちゃんと一人でスケジュール管理しなさいよ?
先輩ありがとうございました!このたびのご協力、ひとえに感謝いたします。

後輩

「ただただ、ひたすら」感謝している表現です。先述の「ひとえに~おかげ」よりも簡略化して感謝を強調する表現です。明確に特定の人物や団体に向けていうなら、「ひとえに~おかげ」を使用するほうが感謝の気持ちを伝えやすいです。

「ひとえに」と「賜物」を使った例文

例文1

課長

やあ、おめでとう!
私がこうしていられるのも、ひとえに課長の日ごろのご指導の賜物です。

先輩

例文2

先輩

君は本当に手間がかかるけど、自分なりに一生懸命やっていることだけは認めているのよ!
ははは…。これもひとえに先輩の日ごろの支えの賜物と理解しております…。

後輩

今の自分の姿、立場は周りの尽力、支えがあるからこそだと感謝を述べている使い方です。指導や支援を贈り物=賜物と表現し、その気遣いに敬意を払うお礼の表現です。

「ひとえに」と「お力添え」を使った例文

例文1

課長

この前のクライアントの要望、結局なんとかなったのかい?
はい、どうにか丸く収めることができました!これもひとえに課長のお力添えのおかげです!

部下

例文2

先輩

最終チェックは私がやってあげるから、あとはこのとおりにやるのよ!
おおっ!?こんなあっさりと!これもひとえに先輩のお力添えのおかげです!

新人

特定の誰かや、周りの助力に対して感謝を述べる表現です。助けがあって物事の好転を明確にしたいときに使用します。

「ひとえに」の類語

ここでは「ひとえに」の類語についてご紹介します。類語のなかには、「ひとえに」よりもシンプルでわかりやすい表現もあります。相手や状況に応じて、適切な類語を使用していきましょう。

ひたすら

ひとつの物事を行っている様子を表現している言葉です。形容動詞と副詞のふたつの意味をもち、どちらも「もっぱらに」と形容される様子です。ちなみに「もっぱらに」とは「専らに」と書き、「専念」や「専心」を意味する言葉です。「ひたすらに」を含め、差し替えて使い分けられます。

例文

新人

こんなに仕事量があるのかあ…。でもやるしかない!
ことをなすにはまず何ごとも、ひたすら前進あるのみだよ。

上司

一途に

「一途」の読み方は「いちず」です。「途」は「道」を示し、文字どおり一本の道を意味する言葉です。物事を一本道に例え、ひたすらその道を進んでいる様子を「ひたすら」と表現しています。

例文1

先輩

しかし君も懲りずによくチャレンジするわね。
僕はこうみえて、思い込んだら一途なんですよ。

後輩

例文2

部下

あれもやらないといけないし、これも残ってるし…。どれから手をつければいいんだ!
あれもこれもと色気を出さずに、どれかひとつを一途にやり遂げなさい。

上司

一心不乱に

「いっしんふらん」と読み、「一つの心に乱れがない」様子をあらわす言葉です。すなわち、これをひとつの言葉にして「一心不乱」とする4字熟語です。ひとつの物事に専心、専念、一途に集中している様子を表現しています。

例文

部下

A君人が変わったように一心不乱に打ち込んでいますけど、なにかあったんですか?
どうやら提出期限を一日ずらして覚えていたようで、相当切羽詰まってるようだね。

上司

まったくもって

漢字で「全くもって」と書き、「まったく」を強調することで”すべてにおいて~”と全肯定している表現です。

例文

先輩

ギリギリになるまで溜め込んでおくから、肝心なときに切羽詰まるのよ?
まったくもって、そのとおりでございます…。

後輩

「ひとえに」の関連語

ビジネスシーンで使用されている「ひとえに」は、古くから古典資料でも使われている表現です。ここではその一部を関連語としてご紹介します。

「偏に風の前の塵に同じ」

鎌倉時代の軍記物語である「平家物語」の有名な冒頭部分、”祇園精舎の鐘の声~”の一節でも使われています。「風の前の塵」とは、「風が吹いて散っていく塵(ちり)」のように、物事がはかなく、危険が迫っている様子をあらわした故事です。

どんなに強くて勢いがあるものでも、その隆盛は永遠には続かず、”偏に風の前の塵に同じ(すべてはかないもの)”であると詠っています。

ひとえにここゆいづ ねの湯 対山荘

「ひとえにここゆいづ」には、”湯も心もおもてなしの気持ちで溢れています”の意味を込めた”造語”です。この言葉は、静岡県伊豆市にあるホテル『修善寺温泉 ねの湯 対山荘』のキャッチフレーズとして使用されています。

言葉の意味には、”ただ、山に対して在る宿”と”ただ、向き合うこと”の2つの意味が込められており、修善寺ならではの優しさとおもてなしをあらわしています。

『じゃらん』や『ぴあ』の旅行サイトでもこのキャッチフレーズがクローズアップされています。ホテル名の一部と勘違いされていますが、それだけ印象的な言葉であることをうかがわせています。

「ひとえに」の英語表現

「ひとえに」はビジネスシーンにおいても使われる可能性のある表現です。英語で表現する機会にそなえて、事前にメールや会話での使い方を身につけておくと安心できます。

「ひとえに」の英語表現
「ひとえに」は英語で・・・
at once
と表現できます。

「ひとえに」の英語表現を使用した例文はこちらです。

例文
・Thanks to the guidance of the section manager all at once.
ひとえに課長のご指導のおかげです!
・All of this is thanks to your cooperation all at once.
⇒これもすべて、ひとえにみなさんが協力してくれたおかげです!
・All at once thank you for your cooperation this time.
⇒このたびのご協力、ひとえに感謝いたします。
・All at once this is the gift of the section manager’s guidance.
ひとえに課長の日ごろのご指導の賜物です。
・This also is all at once thanks to Mr. ○○’s help.
⇒これもひとえに○○さんのお力添えのおかげです!

「ひとえに」の正しい使い方をマスターしよう!

「ひとえに」は、「一重」と間違われやすい同音異義語です。他人への感謝や自分への努力を”ひたすらに”表現、または行うのは日常生活でもビジネスシーンでもとても大切です。日ごろの感謝や努力を忘れないためにも、言葉の意味を正しく理解してひとえに邁進しましょう!