「割愛」は「省く」ってこと!
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「割愛」とは、「省く」という意味の言葉です。ビジネスシーンでは会議やプレゼンなどの場面で「こちらの説明は時間の都合上、割愛します」のように使われます。
また、「割愛」にはいくつか言い換え表現があります。特に「省略」という言葉と混同されることが多いです。それぞれの意味を理解し、うまく使い分けられるようにしておきましょう。
・除外
・端折る
「割愛」の読み方・語源・意味
「割愛」は「愛を割く」と書くので、漢字からはすぐに意味が連想できませんよね。
ここでは「割愛」の読み方や意味、語源について解説していきます。
「割愛」の読み方と意味
「割愛」は「かつあい」と読みます。「わりあい」とは読まないので、くれぐれも注意しましょう。
「割愛」の「割」は「別々に分ける」、「愛」は「手放したくない・大切に思う気持ち」という意味があります。つまり、「割愛」は「惜しみながら省く」という意味になります。
また、「割愛」は「公務員が民間企業や自治体など籍を移す」「大学教員が他大学へ籍を移す」という意味でも使われます。公務員や大学教員の異動は手続きの形式上、移籍先から「優秀な人材を割愛してほしい」と申請します。
このことから、「手放すにはもったいない人材をやむを得ず手放す」という意味で「割愛人事」と呼びます。同様の意味で「割愛採用」や「割愛退職」などと呼ばれることもあります。特殊な使い方ではありますが、常識として覚えておきましょう。
「割愛」の語源
「割愛」の語源は仏教・養蚕の2つがあるといわれています。
仏教用語が語源という説
「割愛」は元々、仏教用語で「出家」を意味する言葉です。「出家」とは「家や俗世間を出て仏門・仏道修行に入ること」を表します。
出家の際、愛する家族や故郷から引き裂かれる気持ちを「愛を割く」として、「割愛」と呼ぶようになりました。これが転じて、現在の「割愛」が表す「惜しみながら手放す」という意味になったといわれています。
養蚕用語が語源という説
「割愛」は養蚕(ようさん)用語が語源となっているという説もあります。 絹の原料である繭(まゆ)を蚕に作らせる際、まず交配を行わせます。しかし、この交配では、長時間蚕が固く結びつき、離れようとしません。そこで、メスが弱ってしまう前に、人の手で引き離し交配を中断させます。このことを養蚕業では「割愛」と呼んだそうです。
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「割愛」の使い方・例文
ビジネスシーンで「割愛」を使う場面は、主に「時間やスペースに余裕がなくやむを得ず省くとき」です。そのため、「無駄なので割愛します」「不必要なので割愛します」というような使い方は間違いです。このような場合は後ほど詳しく説明する「省略」を使ったほうが適切です。
また、「割愛」という言葉自体は敬語表現ではありません。目上の相手や取引先に対して使う場合は「割愛させていただきます」や「割愛いたします」のように、後に続く言葉を丁寧語にするとよいでしょう。ここからはさまざまシーンでの「割愛」の使い方を例文でご紹介していきます。
「割愛」を使った例文
「ページの都合上、グラフは割愛しました」
「掲載したい作品が多いが、紙面の都合上割愛せざるを得ない」
「割愛」を使って何かを省く場合、後に補足をつけると丁寧な印象を与えることができます。
たとえば、「時間の都合上、説明は割愛いたします」の後に、「お手元の資料にてご確認ください」や「ご不明な点がございましたらおっしゃってください」などと補足するとよいでしょう。
「割愛」の類語・言い換え表現
「割愛」に似た意味の言葉はいくつかあります。シチュエーションや相手に応じて言い換えられるよういくつかチェックしておきましょう。
「割愛」と「省略」の違い
「割愛」の類語に「省略」という言葉があります。「省略」の意味は「簡単にするため文章や手続きの一部を略して省くこと」です。つまり、「不要なものを省く」というニュアンスになります。
「この説明は先ほどの内容と重複するため、ここでは省略いたします」
「割愛」も「省略」も、「省く」という結果がある点は同じです。しかし、「省略」には「割愛」に含まれる「惜しむ」気持ちがありません。ビジネスシーンでは「割愛」と「省略」の使い分けができていないと失礼にあたる場合もあります。
たとえば、結婚式の祝電など、時間の関係上全て紹介することが難しいケースがあります。このような場合「(本当は全部読み上げたいのですが)時間の都合上、割愛します」と表現するのが適切です。ここで「時間の都合上、省略いたします」といってしまうと、失礼にあたるので注意しましょう。
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除外
「除外」は「ある範囲や規定の外におく・取り除く」という意味の言葉です。つまり、「区別して除く」ということを表します。
「従業員の雇用状況によっては、各保険の適用が除外される」
端折る
「端折る」は「はしょる」と読み、「ある部分を省いて短く縮める」という意味になります。「省略」とほとんど同じ意味合いとなります。
一般的に「端折る」は話し言葉として使われることが多いです。くだけた雰囲気のときに使う分には問題ありませんが、ビジネスの場ではできるだけ「省略」を使ったほうがよいでしょう。
「割愛」の英語表現
「割愛」はビジネスシーンにおいて使われる言葉です。英語で表現する機会があることも考え、メールや会話での使い方を事前に身につけておくと安心です。
skip
omit
ignore
と表現できます。
「割愛」の英語表現を使用した例文はこちらです。
⇒ここは割愛するので、お手元の資料でご確認ください。
・The explanation of this part is omitted due lack of time.
⇒時間の都合上、この部分の説明は割愛いたします。
・Because of the page format the graph is omitted.
⇒ページの都合上、グラフは割愛しました。
・There are many works I want to publish, but I have no there choice than ignore them due to lack of space.
⇒掲載したい作品が多いが、紙面の都合上割愛せざるを得ない。
「割愛」の意味を正しく理解して語彙力を高めよう!
「割愛」は「惜しみながら省く」という意味の言葉です。似た言葉である「省略」と混同しやすいため、しっかりと意味の違いと使い方を覚えておきましょう。
「省略」は「単純に簡単にするために省く」ことですが、「割愛」には「本当は省きたくない」という気持ちが含まれます。
これらの言葉を使い分けできると、会議やプレゼンを今まで以上にスムーズに進めることができますよ!ぜひ「割愛」を上手に会話に取り入れてみてくださいね。