「各位」は「皆様」ってこと!
上司
新人
上司
「各位」とは「皆様」をより丁寧に表現した言葉です。ビジネスメールや文書などでは、主に冒頭部に使用されます。
また、「各位」には似た意味の言葉も多くあるため、シチュエーションに応じたフレーズを選択できるよう類語・言い換え表現を身につけておきましょう。
・様
「各位」の意味
「各位」は「かくい」と読みます。「皆様」や「皆様方」を丁寧に表現した言葉です。
もともと「各」は「おのおの・それぞれ」、「位」は「尊敬の気持ち」という意味も持つ漢字です。よって、「各位」とは2人以上の人を対象にしながら、それぞれの人を敬う表現となります。
複数の相手に向けて文書を送る場合、本来は「○○様、□□様、△△様」と宛名を書くべきですが、対象人数が多い場合は「各位」を使用します。
あくまで複数の人数に対して使用する言葉のため、個人に対しては使わないと覚えておきましょう。
「各位」の使い方・例文
「各位」は一般的に書き言葉としての使用が多く、複数の人にビジネスメール・文書・案内状・お知らせを送るときに使われます。
話し言葉としては、改まった場所でのスピーチや挨拶に「各位」が使われます。非常に堅い印象を与えるため、普段の会話で使うことは滅多にありません。
また、「各位」という言葉は敬称なので、上司や目上の相手にも問題なく使うことができます。
ここからはビジネスシーンにおける「各位」の適切な使い方を、例文を交えてご紹介していきます。言い回しやシチュエーションなどもあわせてチェックしてみてくださいね。
「各位」を使った例文
「◯◯株式会社 資材発注担当各位 いつもお世話になっております」
「取引先各位 事務所移転のお知らせ」
「お客様各位ゴールデンウィーク休業のお知らせ」
「株主各位 拝啓 平素は格別のご高配を賜り深く感謝申し上げます」
上記例文のように「各位」は多くの人にお知らせをする際、文書の冒頭に使います。「各位」のみでも問題ありませんが、一般的には「◯◯の皆様へ」という意味で「◯◯各位」と表記する場合が多いです。
「各位」までが宛名となるため、社外向けの文書を送るときは、この後に「お世話になっております」など挨拶や感謝の言葉を続けて本題に入りましょう。
「社員各位 年末調整のご案内」
「忘年会参加者各位 会場変更のお知らせ」
「各位」は社外だけでなく、社内での連絡にも活用できます。敬称の意味を含んでいるので、上司・後輩に関わらず「各位」とすることができます。
「各位」の間違った使い方
「各位」の間違った使い方として最も多いのが「各位様」「○○様各位」という表現です。
これらが誤用とされるのは、前述の通り「各位」にはすでに「皆様」という敬称が含まれているため、「様」と組み合わせてしまうと二重敬語になるからです。
一般的なマナー・文法としては間違いとされています。
「様」以外にも間違いやすい使い方があるので、次の誤用例を確認しておきましょう。
「◯◯様各位」
「各位殿」
「各位御中」
新人
「お客様各位」は例外でOK
「各位」は「様」と組み合わせて使うと誤用になると説明しました。しかし、店頭やネット通販などでは、よく「お客様各位」という表現が使われているのを目にしますね。
厳密にいえば誤りといえますが「お客各位」と表記してしまうと非常に不自然です。そのため、「お客様各位」は一般的に許容された表現といえます。他には「お得意様各位」や「ご入居様各位」なども同様です。
上司
「各位」を使う際の注意点
「各位」に限ったことではありませんが、ビジネスシーンでは正しい言葉使いをしていても、受け手のとらえ方次第でトラブルになる可能性があります。
「各位」自体は敬称が含まれた言葉ですが、相手がその意味を理解していない・使われるのを嫌うという場合もあります。つまり「各位」とひとまとめにしてしまうと、「敬称を省略された」「その他大勢と扱われた」と感じる人もいるということです。
個人への配慮が必要な場合は「◯◯部長□□課長及び関係者各位」などと表記するとよいでしょう。複数の企業に向ける場合は、お得意様に対しては個別に通知を送ることがおすすめです。
「各位」の類語・言い換え表現
「各位」に似た意味の言葉はいくつかあります。シチュエーションや相手に応じて言い換えられるよういくつかチェックしておきましょう。
御中
「御中」とは「おんちゅう」と読み、「組織の中の人へ」という意味の言葉です。主に会社や団体など特定の個人宛ではないときに用いられます。
ビジネスメールや文書などを送る際、担当者までは明確にわからないということは多いものです。このような場合「御中」という敬称を使います。また、敬語表現となるため「様」や「各位」と同時に使うことはできません。
「株式会社◯◯営業部御中」
「各位」は「対象者全員に読んでほしい」という意味合いで使われますが、「御中」は「対象組織の誰かに読んでほしい」というニュアンスとなります。
様
「様」は人名や人を表す言葉につける敬称です。個人の敬称として立場に関係なく使えます。
「◯◯株式会社 人事部人事課 △△部長 □□課長 ××様」
「株式会社◯◯ 営業ご担当者様」
ビジネスシーンでは、「部長」などの役職の後に「様」をつけるのは間違いなので、注意しましょう。
たとえば、「□□課 ◯◯課長様」は間違いです。基本的には「□□課 ◯◯課長」と表記してOKです。もしくは、「□□課長 ◯◯様」と表記すれば正しい「様」の使い方となります。
「各位」の英語表現
「各位」はビジネスシーンにおいて頻繁に使われる言葉です。英語で表現する機会にそなえて、メールや会話での使い方を事前に身につけておきましょう。
each
all
と表現できます。
「各位」の英語表現を使用した例文はこちらです。
⇒取引先各位 事務所移転のお知らせ
・a notice regarding the Golden Week holiday to each customer
⇒お客様各位ゴールデンウィーク休業のお知らせ
・To all the shareholders, I would like to express my gratitude for your high investment.
⇒株主各位 拝啓 平素は格別のご高配を賜り深く感謝申し上げます
⇒社員各位 年末調整のご案内
・a notice to each participant, regarding the change of the place where the year-end party will be hold
⇒忘年会参加者各位 会場変更のお知らせ
「各位」を正しく使って丁寧に敬意を表そう!
「各位」とは「2人以上の人を対象にして、それぞれの人に敬意を表す言葉」で「皆様」や「皆様方」と同じ意味となります。
「各位」にはすでに敬意が込められているので、「御中」や「様」などの他の敬称と同時に使うことはできません。ただし、例外として「お客様各位」は一般的に許容されています。
また、受け手によっては「各位」が「敬称を略された」「その他大勢にされた」と不快に感じる場合もあります。相手や状況に応じて個別に通知を送るなど、適宜応用してみてくださいね。