「解任」は「任務を解くこと」という意味!
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「解任」とは「任務を解くこと」という意味の言葉です。ビジネスシーンでは主に、会社役員以上の任務を解く場合に用いられます。
よくニュースでも「会社の取締役が解任された」「プロ野球チームの○○監督が解任された」などと報道されることがあります。2019年には日産自動車のカルロス・ゴーン前会長の解任報道が記憶に新しいのではないでしょうか。
また「解任」は似た意味の言葉が非常に多いため、混同してしまうことも。状況に応じて類語を正しく使い分けられるようにしておきましょう。
・解職
・退任
「解任」の意味
「解任」とは上述の通り「任務を解くこと」「職務を辞めさせること」という意味です。つまり、本人の意思に関係なく、他人の意向によって辞めさせられることを示しています。あくまで役職を解くだけなので、「退職させる・クビにする」わけではありません。
本人の意思で任務を退いたのか、周囲の声によって辞めさせられたのかでは、ニュアンスが全く違うため使用の際には十分に注意しましょう。
また、「会社法」という会社の設立や運営を定めた法律では、「解任」を使う対象は代用取締役や代表執行役員以外の役員、つまり取締役や監査役などに対して使う言葉とされています。
「解任」の理由はそれぞれ
会社役員の「解任」は、原則として株主総会で解任議案が決議されることにより決定します。
解任の理由はケースごとに違いますが、経営判断の失敗や役員としてふさわしくない行動が生じた際に責任を取らされる形が多いです。理由が法に抵触する内容であれば、解任だけでなく懲戒免職などの処分が下される場合もあります。
一方で会社に長い間貢献していたとしても、代表取締役や株主と折り合いが悪く不当に解任を要求されるようなケースも珍しくはありません。
そのため他人の意向によって辞めさせられる「解任」は基本的にポジティブな理由ではないことがほとんどです。
上司
「解任」の使い方・例文
ビジネスシーンで「解任」を使う場面は、主に会社役員が辞めさせられるときです。
また事業場によっては法令に基づき、防火管理者や衛生管理責任者などを配置する義務があります。これらの任務を解く場合にも「解任」という言葉が使われます。
ビジネスの場以外では、成績不振などを理由に、スポーツ監督に対して使われることも多いですね。
ここからは「解任」という言葉を正しく使うために、例文を交えて解説していきます。
「解任」を使った例文
「役員の解任を要求する」
「不祥事を理由に理事を解任された」
「サッカーや野球チームの監督は、成績次第ではシーズン中でも解任される」
「解任する」のほか、「解任される」「解任が決定する」「解任を要求する」などの言い回しが使われます。
注意点として、立場の高い人に対して使われる場合でも「ご解任」や「解任なさる」のような尊敬表現はしません。
「解任」の類語・言い換え表現
一般的に役員が任期終了以外で辞める理由としては、「解任」のほかに「解職」「辞任」「退任」などが挙げられます。どれも「任務を辞める」ことを表す言葉ですが、意味がそれぞれ違うため混同しないように覚えておきましょう。
「解任」と「辞任」の違い
「解任」は「周囲の意志」によって辞めるのに対し、「辞任」は「本人の意思」で任期を終えないうちに役目や役職を辞めることを表しています。
「今年度末で理事長職を辞任する意向を示した」
「弊社取締役○○は一身上の都合により△月□日をもちまして、取締役を辞任し退社いたしました」
たびたび政治のニュースで「大臣が責任を取って辞任」と報道されますが、これは「大臣という職務は辞めるものの、議員は辞めない」ということです。
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「解任」と「解職」の違い
「解職」とは「解任」と同じく、「命令によって職務をやめさせること」という意味の言葉です。意味は同じでも使う対象が違います。
「解任」は代表取締役以外の役員に対して使われますが、「解職」は代表取締役・代表執行役員などに使用される言葉とされています。
「解任」と「退任」の違い
「退任」とは「今までの任務や職務から退くこと」という意味の言葉です。あくまで任務・職務から離れるだけなので、職場自体を辞めるということではありません。
また「退任」は自分を含め誰かの意向に関わらず使うことができます。そのため「任期満了」「解任」「解職」「辞職」は全て「退任」に含まれます。
「3年契約終了後は、監督を退任し経営に携わる予定だ」
「退任される○○さんへ、お世話になった気持ちを込めてお祝いの品を贈る」
「解任」の反対語とは?
ある任務に就いている人が「解任」された場合、そのポジションがなくならない限りは新たに人が配置されるでしょう。そのため「解任」の反対語も覚えておく必要があります。
「任命」
「解任」の反対語として「ある役目に就くよう命じる」という意味の「任命」という言葉があります。
「弊社は下記の者を執行役員に任命いたしましたので、お知らせいたします」
ただし自分が任命されたことを相手に話す場合は「任命されること」の謙譲語である「拝命」を使うのが一般的です。たとえば「この度営業部部長を拝命いたしました」などと表現します。普段使う機会は少ないかも知れませんが、ぜひ覚えておきましょう。
「就任」
「就任」とは「新たな任務に就く」ことを表す言葉です。一般的に企業の社長や政界の首相など、高い地位や役職に対して使われることが多いです。
「解任」の英語表現
「解任」はビジネスシーンにおいてあまり使われたくない言葉の一つです。しかし、英語で表現しなければならない場面が出てくることも考えられます。事前に表現方法を確認しておくのもよいでしょう。
dismissal
と表現できます。
「解任」の英語表現を使用した例文はこちらです。
⇒取締役を解任する。
・Request the dismissal of the officer.
⇒役員の解任を要求する。
・The director was dismissed on the grounds of a scandal.
⇒不祥事を理由に理事を解任された。
・Depending on their results, the coaches of soccer and baseball teams will be dismissed during the season.
⇒サッカーや野球チームの監督は、成績次第ではシーズン中でも解任される。
「解任」をビジネスシーンで正しく使おう!
「解任」は「他人の意向で役職を解かれる」という意味の言葉です。通常であれば、会社役員は任期満了をもって役職を退きます。
「解任」される理由はそれぞれ違いますが、ネガティブな事情を含んでいる場合が多いため、会話の中で使う際はデリケートな話題に配慮することもお忘れなく!
また、自らの意思で辞める「辞任」など似た言葉も非常に多いため、状況に応じて正しく言葉を選べるよう類語や反対語もしっかりマスターしておきましょう。