「陰ながら」は「人知れず」ってこと!
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新人 先輩 「陰ながら」とは「人知れず」や「見えないところで」という意味の言葉です。 たとえばよく耳にする「陰ながら応援しています」とは、「直接協力できないけれど、あなたを応援する気持ちがあります」という意味で使われます。 ビジネスシーンでは挨拶や社交辞令としても多く使われるので、ぜひ覚えておきたいフレーズのひとつです。 また「陰ながら」はいくつか類語もあるため、シチュエーションに応じた言葉を選択できるよう身に付けておきましょう。 「陰ながら」という言葉を分解してみると「陰」は「表立ってではない」、「ながら」は「~のまま」という意味になり、そのまま言い換えると「表にでることのないまま」となります。これは「物陰に隠れて」ということではなく「裏方として」という意味合いです。 よって、「陰ながら」とは、「人知れず」「見えないところで」「ひそかに」という意味になります。 また、メールや文章作成時に「影ながら」と「陰ながら」のどちらを使うか迷うことがあるかもしれませんが、正解は「陰ながら」です。 読み方は同じですが「影」は光に遮られた黒い部分を指し、「陰」は何かから「隠れた」ところを意味しています。そのため「陰ながら」と表記するのが適切です。変換ミスをしやすいため、注意するようにしましょう。 「陰ながら」はほかの言葉を説明する副詞のため、「陰ながら○○する」と後に動詞を続けて使用します。 「陰ながら」自体は尊敬語や謙譲語ではありませんが、「陰ながら」を使って「人知れず○○する」と表現することで、相手への尊重や気遣いを示すことができます。そのためビジネスシーンでは目上の相手や取引先にも使うことができます。 ここからは実際に「陰ながら」を使った例文をご紹介していくので、シチュエーションや言い回しなどもあわせてチェックしていきましょう。 「陰ながら応援しています」とは、相手に対して具体的な援助や協力はできないものの、気持ちの中では寄り添っていることを表しています。 ビジネスシーンにおいて自分は参加しないが、相手が新しい仕事や企画に挑戦する場面は以外と多いものです。そこで「頑張ってください」といっても問題ありませんが、人によっては突き放されたように感じる人もいます。そこで「陰ながら応援」という言い回しを使うと、相手への気遣いを示すことができます。 謙虚な印象を与えながらも具体的に何かをする義務が発生しないため、ビジネスシーンでは挨拶や社交辞令として気軽に使われています。使う相手によって「陰ながら応援しております」や「陰ながら応援させていただきます」など、より丁寧な表現に変えてもいいでしょう。 ただし「陰ながら」がつくことで単純に「応援しています」というよりも、「応援」の意味合いが弱くなります。「陰ながら」の意味を考えながら、シチュエーションに応じて使い分けるようにしましょう。 「お祈りメール」と呼ばれる就職の不合格通知でも「陰ながら」が使われる場合があります。「陰ながら」を使うことで「(今回は不採用という結果でしたが)今後の活躍を祈っているので頑張ってください」という意味合いの言葉を、皮肉や嫌味にとらえられにくい控えめな文章になります。 相手の無事や安全は、基本的に本人以外の力ではどうにもなりません。怪我や病気をはじめ自然災害や事故など、相手を見舞う際に「陰ながら無事を祈る」と表現すると、謙虚な姿勢と相手への気遣いを表すことができます。回復を急かす印象を与えにくいので、仕事に穴を開けることを気に病むような相手にサラッと使えるといいですね。 ビジネスメールで「陰ながら」を使う場合は、文末の締めとして挨拶に取り入れると、文章全体が引き締まり丁寧な印象を与えることができます。 「陰ながら」はこれまでご説明してきたとおり「人知れず」「ひそかに」という意味合いのため、自身が積極的に参加するべき内容に対して使うのは適切ではありません。 受け取る相手との関係性によっては「どうして陰ながら?」「何か協力はしてくれないのかな?」と不安にさせてしまう場合もあります。「陰ながら」行う必要がない事柄であれば、省略してしまってもよいでしょう。 「陰ながら」は、「人が知らないうちに」という意味の「人知れず」や「自分の心の中だけで」という意味の「心ひそかに」が類語に該当します。ただし実際にはこれらの言葉で言い換えてみてもしっくりこない場合が多いです。 「人知れず応援しております」や「心ひそかに応援しております」ではどこか違和感があります。「陰ながら」を言い換えたい場合は、無理せず省略してしまうのもひとつの方法です。 もしくは「陰ながら」という言葉にこだわらず、意味の近い表現を使って文章全体を言い換えてもよいでしょう。 「陰ながら」はビジネスシーンでも使われる言葉です。シチュエーションによっては英語で表現しなければならないことも考えられます。万一に備え、会話やメールでの使い方を事前に確認しておくと安心です。 「陰ながら」の英語表現を使用した例文はこちらです。 ビジネスシーンで「陰ながら」は、直接力にはなれないが相手を気遣う気持ちを表す言葉として使われます。文章の意味合いを弱め控え目な印象を与えることができるフレーズなので、相手やシーンに応じて上手に活用しましょう。 また言い換え表現が難しい言葉なので、迷った際は思い切って省略してもOKです。 ぜひ今回の記事を参考に「陰ながら」を使いこなして、スマートに気遣いができるビジネスパーソンを目指しましょう。
・心ひそかに
「陰ながら」の意味
「陰ながら」の使い方|ビジネスシーンでの例文
「陰ながら応援」
自分「はい、楽しみにしてたので残念です。〇〇さんの活躍を陰ながら応援しています」
「陰ながら祈る」
「〇〇様のより一層のご活躍を陰ながらお祈りしております」
自分「ご回復を第一にご静養ください。陰ながら無事をお祈りしています」
ビジネスメールで「陰ながら」を使った例文
「益々のご活躍を陰ながらお祈り申し上げます」
「新しい職場でのご活躍を陰ながら応援しております」
「良い結果となりますよう陰ながらお祈りしています」
「陰ながら」を使う際の注意点
「陰ながら」の類語・言い換え表現
「ご健闘をお祈りしております」
「ご活躍をお祈りしております」
「ご健勝とご多幸をお祈り申し上げます」
「陰ながら」の英語表現
secretly
in the shade
と表現できます。
⇒○○さんの活躍を陰ながら応援しています。
・I’m secretly praying for your continued success in the future.
⇒〇〇様のより一層のご活躍を陰ながらお祈りしております。
・Please take care of your recovery first. I secretly wish you to be safe.
⇒ご回復を第一にご静養ください。陰ながら無事をお祈りしています。
・I’m secretly praying for the continued success of your activity.
⇒益々のご活躍を陰ながらお祈り申し上げます。
・I’m secretly rooting for the success of your activity at the new workplace.
⇒新しい職場でのご活躍を陰ながら応援しております。
「陰ながら」を上手に使って相手への気遣いを表そう!