「ございます」は「ある(在る・有る)」という意味
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「ございます」は、動詞の「ある」を丁寧に表した言葉の敬語表現です。「ある」には、物事が存在する、その場所に位置する、生存している、所有している、などたくさんの意味があります。
また、「ある」は付属的に用いられて意味を添える補助動詞という一面もあります。「私は社会人である」の「ある」や「これはリンゴである」の「ある」などが一例で、これを「ございます」に置き換えることも可能です。
このように「ございます」には、さまざまな意味と使い方が含まれています。今回は、「ございます」について詳しく見ていきましょう。
「ございます」は丁寧語!
「ございます」は「ある」の丁寧語で、「ある」に丁寧表現「ます」を付属した「あります」よりも丁寧な言葉です。尊敬語や謙譲語としても使えるのか解説していきます。
丁寧語とは?
丁寧語は、話をするときに相手に対して敬意を表したいときに役立つ言葉。例えば、初めての相手や目上の相手に話をする際に、語尾に「です」や「ます」を付けて話すことがありますね。このように、丁寧語は日常的に活用されている表現です。
「です」や「ます」のかわりに「ございます」を使うと、さらに丁寧な表現になります。
尊敬語や謙譲語との違いとは?
謙譲語もまた、丁寧語と同じように、話をするときに相手に対して敬意を表す言葉です。違う点としては、へりくだる表現が加わっているところが挙げられます。例えば、「もらう」は「いただく」、「聞く」は「うかがう」が謙譲語に該当します。
尊敬語は、自分の話を聞いている相手や話題にあがっている人に対して、おもてなしの気持ちを込めた表現ができる言葉です。例えば、相手に「平日は会社に居ますか?」と聞きたい場合に、「平日は会社にいらっしゃいますか?」という言い方ができます。
丁寧語、謙譲語、尊敬語はどれも敬語なので、使用シーンに応じて使い分けてみましょう。
「ございました」に言い換えは可能?
身近な言葉の中には、「ありがとうございました」という言葉がありますね。「ございます」は現在の出来事を表していますが、過去のことについて表現したいときには「ございました」を使うこともできますよ。
また、同意の丁寧な表現として使用される「さようでございましたか」などでも使われる表現です。
「ございます」の正しい使い方
「ございます」は、丁寧表現をしたいときに便利な言葉ですが、日常会話の中で使うには少し堅苦しいという一面もあります。
比較的、改まったシーンで映える言葉のため、大切な会議の席や、礼儀正しくきちんとした挨拶が必要な場面などでの言葉遣いに活用してみましょう。
お店や会社の受付窓口で常にお客様と接するなど、仕事柄によって役立つことも。対面に限らず、きちんとした電話応対でも役立つときがあるため、正しい使い方をマスターしておくと安心です。
また、メールで書く際には、表記方法も工夫してみましょう。漢字では「御座います」と書きますが、丁寧にしようと漢字にすることで読みやすさが失われる場合もあります。相手が読みやすいことを考慮して「ございます」とひらがなで書くのもおすすめ。
丁寧さを心がけながら優しさや柔らかさを表現したいときにも、ひらがな表記は役立ちますよ。
「ある(在る・有る)」という意味で「ございます」を使う場合
「ある」という意味で「ございます」を使う際には、「あります」では丁寧さが不十分だと感じるときに使ってみましょう。
「こちらの商品は在庫がございます。」
「申し込み完了後、当選者発表まではお時間がかかる場合がございます。」
また、相手に質問をしたい場合の「ありますか?」の代わりにも使用することができます。質問文の場合にも、そのまま置き換えて「ございますか?」でOKです。「ありませんか?」と聞きたい場合には、「ございませんか?」を使いましょう。
「当選詐欺についての対処法はございますか?」
「何かお困りごとはございませんか?」
「です」の代わりに「ございます」を使う場合
日常会話の中で「~です」という場面はさまざまにありますね。この「です」を「ございます」に置き換えるだけで丁寧な表現ができます。
ただ、「です」そのものが丁寧語のため、場面に合わせて使い分けて不自然にならないようにするのがポイント。また、「あります」の場合とは違い、「で」の後に「ございます」を付ける形を覚えておきましょう。
「営業時間は10時から18時でございます。」
「同じメールアドレスでユーザーを複数回登録することも可能でございます。」
自己紹介などで名前を「○○です」といいたいときに「○○でございます」にするとより丁寧な表現ができます。
「ただいまご紹介にあずかりました○○でございます。」
「先日お目にかかりました○○でございます。」
「ございますでしょうか」は二重敬語!
「ございます」は、置き換えるだけで丁寧な表現ができる便利な言葉ですが、間違いやすい表現もあるため使用の際には注意が必要です。「ございますでしょうか」もそのひとつ。
極めて聞きづらいというわけでもなく、正しい丁寧語のように聞こえてしまうのが難点ですが、こちらは二重敬語の表現です。
「ございますでしょうか」を分解してみると、「ございます」と「でしょうか」に分かれますね。ご存知のとおり「ございます」は丁寧語。「でしょう」は「だろう」の丁寧語です。つまり、同じ種類の敬語がつながっているのです。
「ございますでしょうか」は「ありますか」という意味で使いたい言葉ではないでしょうか。「ありますか」と聞きたいときには、「ございますか」と単純な置き換えでOKです。
「ございます」の間違った表現
ほかに、「ございます」の間違った表現で気を付けておきたいのは、別の敬語と間違えて置き換えてしまうことです。本来の意味をよく把握してから、それぞれの用語に正しい敬語を使いましょう。
「社長はただいま留守にしてございます。」
「商品の在庫が不足してございます。」
正しい表現
「社長はただいま留守にしております。」
「商品の在庫が不足しております。」
※「居る(いる)」の丁寧表現は「おります」です。
「○○様はご自宅にございますか?」
「総務課の佐藤様はございますか?」
正しい表現
「○○様はご自宅にいらっしゃいますか?」
「総務課の佐藤様はいらっしゃいますか?」
※この場合は相手に対する敬意を表して、「居る(いる)」の尊敬語「いらっしゃる」を使うのが最適です。
「ございます」の英語表現
「ございます」はビジネスの場においてもよく使われる言葉であるため、英語で表現しなければならないことも考えられます。いざという時のために、会話やメールでの使い方を確認しておきましょう。
is, are
と表現できます。
「ございます」を使用した例文はこちらです。
⇒お手洗いは2階にございます。
・This item is in stock.
⇒こちらの商品は在庫がございます。
・This are the documents.
⇒こちらが資料でございます。
・The business hours are from 10:00 to 18:00.
⇒営業時間は10時から18時でございます。
・It is ○○ that I am introducing now.
⇒ただいまご紹介にあずかりました○○でございます。
「あります」よりも丁寧な「ございます」を使おう!
「あります」をより丁寧にいいたいときに便利な「ございます」は、改まった席などきちんと話をしたいときに活躍してくれる言葉です。ちょっとした拍子に間違いやすい表現もありますが、意味をきちんとおさえて正しく使いこなしていきましょう。