ロジスティクスはモノを作って売るまでの流れと管理
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ロジスティクスとは、モノを保管して運ぶだけでなく、作ってから消費者の手元に届けるまでの一連の流れを一括管理することをさしています。
こちらの記事ではロジスティクスの言葉の意味や由来の他、具体的な事例や関連語などをわかりやすく解説していきます。
ロジスティクスの意味をチェック
製品を取り扱うことがある企業では、ロジスティクスという言葉は当たり前のようにに耳にしているでしょう。そもそも『ロジスティクス』にはどのような意味があるのでしょうか?ここでは言葉そのものについて解説します。
ロジスティクスとは?
原材料の調達、生産、保管、梱包などのサービス業務、販売といった、モノを作って消費者に届けるまでの、モノの流れを一元管理することを『ロジスティクス』といいます。会社や解説しているサイトによっては『ロジスティックス』と小さい『ッ』が入る場合もあります。
ロジスティクスと物流の違い
物流とは、正式名称は『物的流通』といい、保管業務、荷造り業務、出庫入庫の情報管理業務を含み、モノのを流通させる業務のことをさします。
一方、ロジスティクスは過剰な在庫を持たないように需給を考えながら物流業務を担います。それに加えて、顧客に満足してもらえるよう柔軟な対応をしていることが特徴といえます。
■ロジスティクスは運ぶという活動に関すること全般を管理すること。
しかし、カタカナ用語がたくさん使われる現代においては、物流業務を行うだけの会社でも『ロジスティクス』という名称がついていることがあります。名称だけでで100%判断がつくとはいえないのが実情です。
ロジスティクスの英語・語源
ロジスティクスは英語では『logistics』と表記し、直訳すると『兵站(へいたん)学』となります。
もともとは軍事用語で、計画に基づき食料・武器・兵員などを適切なタイミングで適切な場所に適切届けるという後方支援活動を意味する言葉でした。
この計画的な物流と管理という点がビジネスでのモノの動きと共通したところがあるため、ビジネスでも広く使われるようになったとされています。
ロジスティクスのわかりやすい事例3つ
ロジスティクスには、一定の基準がほとんど定められておらず、企業によって管理スタイルも物流スタイルもさまざまです。そこでここではわかりやすい事例を3つご紹介しておきます。
花王ロジスティクス
花王ロジスティクス株式会社は、花王グループカスタマーマーケティング株式会社と花王株式会社が筆頭株主になっている企業です。
花王グループ製造商品を、販売部門の戦略に基づき、在庫管理・小売チェーンを含めた各所への配送を効率的に行っています。
また、生産性の向上、物流コストの低減を実現し、従業員の作業環境改善にも還元できているなどの運営が高く評価され、2017年ロジスティクス対象の奨励賞を受賞したという実績ももっています。
参考 花王ロジスティクス取り組みセブンイレブン
アイスクリームの納品をしているフローズンセンターというところでは、アイスクリームを専用の保冷ボックスに入れて店舗への納品を行っています。
昔は保冷ボックスを使用せず配送し、エンジンをかけたままで冷凍車の冷機を停止させずに搬入を行っていました。しかし、保冷ボックスを利用することでエンジンを停止できるようになり、その結果配送トラックの燃費向上や排気ガスの削減が実現しました。
このフローズンの配送面を見直したことによる、『サービスと品質の向上』『合理的コストの低減』が大きく評価され、『2010年度ロジスティクス大賞』を受賞しました。
現在物流センターにおいてはデマンドコントローラー*と太陽光パネルでの節電を目指して活動中とのことです。
(デマンドコントローラー*:各設備の使用電力の監視をし、一定範囲を超えないようにする制御装置のこと。)
ヤマト運輸
ヤマト運輸のグループ企業である『ヤマトロジスティクス』では、「これって物流に関する会社なの?」と思えるほどさまざまなサービスを提供しています。
■構内物流
■輸出梱包・輸入開梱 など
■組立・設置納品
■評価機・デモ機の貸出
■メディカル物流
■国際物流 など
■DM(ダイレクトメール)物流 など
■リコールサポート
■家電通販延長保証 など
■研修実施支援
■社内便配送サービス
■海外引越
■美術品輸送 など
ヤマトロジスティクスでは、各顧客企業だけでなく、その先にいるお客様のことを考えたサービスを提供しており、さまざまな分野の企業に対応できるようになっています。
■家電・OA関連
■通信機器関連
■医療機器関連
■食品・嗜好品関連
■アパレル関連
■化粧品・トイレタリー関連
■金融・証券関連
■出版・広告関連
公式サイトではさらに細かくサービス内容を確認することができるので、興味のある人は見てみてくださいね。
参考 ヤマトロジスティクス公式サイトロジスティクスに関する仕事や資格
ロジスティクスでの仕事は単なる倉庫作業・物流作業というものではありません。『ロジスティクス管理』『物流技術管理士』などの資格試験も存在します。そこでここではロジスティクスで働いてみたい人のために、いくつかの資格試験を紹介しておきますね。
配送のトラックは日中でもよく見かけます。しかし、モノを倉庫から出す作業自体は夜に行い、ロジスティクスの作業は24時間の交代制だという企業も多いものです。
「物流にかかわる仕事をしたい」「ロジスティクスの業務に携わりたい」と思った人は、朝出勤して夕方に帰るという働き方ができない場合もありますので、その点は理解しておいてくださいね。
ロジスティクスの関連語
ロジスティクスという言葉は単体で使われるだけでなく『ロジスティクス〇〇』など他の言葉を組み合わされることも多いものです。そこでここではいくつかピックアップして紹介します。
ロジスティクスセンター
おもに物流の中心拠点となるところをさして『ロジスティクスセンター』とよんでいます。ロジスティクスセンターから広域範囲へ振り分けて配送するという大元の役割を果たす施設となっていることが多いです。
ロジスティクスネットワーク
物流の効率化を目指した管理だけにとどまらず、企業運営の戦略の中に組み込まれ、その分野の市場に適合できるようにした体系のことをさして『ロジスティクスネットワーク』といいます。
ロジスティクスシステム
システムとは、『目的をなしとげるための体系や組織』を意味する言葉です。ロジスティクスという言葉とつながることで、モノの流れを一元管理するための体系や組織という意味になります。
ロジスティクス回帰
統計学での回帰分析をロジスティクスにあてはめることを『ロジスティクス回帰』といいます。
統計学となるとちょっと難しいですよね。
たとえば、Aというところにどのくらいの商品が出荷されているのかを調査し、次の出荷の予測をたてる。
これを関数によって数値化するというのもひとつのロジスティクス回帰になるわけです。
ジャストインタイム
ジャストインタイムをひと言でいうと、『無駄のない生産過程のひとつ』になります。
製造分野におきかえると、『必要なモノを、必要な時に、必要なぶんだけつくる』。これがジャストインタイムです。
ジャストインタイムについては以下の記事でわかりやすく解説しているので、そちらもぜひ参考にしてみてください。
ジャストインタイムとは?物流・生産に関わるビジネスマンが知っておくべきメリット・デメリット
トレーサビリティ
対象となる製品そのものだけでなく、その製品を構成している部品や原材料の流通経路も追跡・確認できるようにした仕組みのことを『トレーサビリティ』といいます。
トレーサビリティについては以下の記事でわかりやすく解説しています。もぜひ参考にしてみてください。
トレーサビリティの意味とは簡単に言うと?英語・使い方例文(食品・IT・製造管理)・関連語まで徹底解説
物流を効率化!無駄をなくしてスマートに
私たちが日常なにげなく使っている商品も、物流なくしては存在せず、経済全体においても物流の重要性は計り知れません。
それだからこそ、無駄をなくして効率化するということはとても重要。もし物流に携わることになった場合は、「この仕事がなければ世の中がまわっていかない」というくらいの意識をもって、ぜひ仕事に臨んでください。