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ライター1本で生活できる収入を得て独立が叶った。それでも正社員に転職した理由

こんにちは。私は現在30代前半ですが、これまで3度の転職をしました。アルバイトからフリーランス、契約社員、そして正社員と働き方も職種も全て異なります。さまざまな環境に身を置いたことで、いろんな視点から「働く」ということを経験してきました。

就活時に起こったリーマンショック。悩んだ末に選んだ進路

映画が大好きな私は、シナリオを手がける脚本家に憧れを抱いていました。

きっかけは大学時代。家庭教師のバイトを通じて知り合った友人5人と、小説をそれぞれ書いてみよう!という企画がありました。私たちは本を読むことが好きだったので、自分達でも書けるかもと思い始めたのですが、みんな挫折をしてしまいました。その中で私だけ1つの小説を書き上げることができ「ストーリーを考えて書き上げることが得意なのかもしれない」とそのとき気づきます。

文章を書くことが好きというわけではありませんでしたが、その時からいずれは映画のシナリオ作りなどの仕事に携わりたいなと思うようになりました。

就職活動では、「書く仕事に就く」を目標に掲げ、新聞社や広告代理店などに絞って探していたのですが、リーマンショックというが起きます。

ちょうど私の就活するタイミングだったので、企業の採用も縮小されてしまい、目指していた業界から内定をいただくことができませんでした。

どうしようかと悩んだときに、「フリーランス」という働き方を考えるようになります。

その理由としては、もともと正直誰かの下についたりどこかに腰を据えて所属したりする自分が想像できなかったことが大きいです。

また、脚本家の世界ではフリーランスとして活躍している方が多いことを知り、フリーランスとしての生き方に興味を持っていました。

あまり興味のない仕事に正社員として勤めるくらいならフリーランスを目指したほうがいいのではと思い、大学を卒業後正社員にはならず、フリーライターとして独立をすることにしました。

塾の非常勤講師として働きながらフリーライターを目指す

フリーライターを目指すことに決めた私ですが、いきなり1本で生計を立てていくのは難しく、並行して大手塾の非常勤講師としての仕事を始めることにしました。

大学生のころ家庭教師のアルバイトをしていたこともあり、塾の仕事自体はとても楽しくできていたのですが、「正社員として働かないか」と会社から声をかけてもらったときは、快く引き受けることができませんでした。夏期講習や冬期講習などのシーズンは朝8:30から日付が変わるか変わらないかくらいまで働かなければいけなかったこともあり、ずっとこの仕事を続けていくのは難しいだろうなと感じていたからです。

塾の非常勤講師兼ライターとして働き始めて5年が経つころ、ライターの収入が一般の会社員くらいに得られるようになりました

初めはWeb運営・記事製作・新聞会社など、さまざまな会社から低価格でも記事製作の依頼を引き受けて実績を作り、その実績を元に他社へ営業をかけて、件数と単価を上げていきました。

ネットを通じて各企業サイトへ応募をするだけでなく、地元企業から東京など場所は選ばずに営業をかけていました。

少しずつ「書く」という仕事ができるようになって、念願だった舞台の脚本も手がけられたときのうれしさは今でも覚えています。

これだけ収入を得ることができればライター1本でもやっていけるかもしれない

もともとライター1本で生きていきたいと思っていた私は、このことをきっかけに塾講師としての仕事を退職し、フリーランスライターとして活動をしていくことに決めました。

塾を退職しフリーランスライターとして独立。新たな人生の岐路へ

2016年にライターとしての独立を果たし、WEB系やインタビュー記事の執筆、そして脚本などを手がけながら生活をしていました。

ライターとして活動を続けて約3年に差し掛かるころ、とある出来事がきっかけで正社員としての道を目指すことになります。

それはパートナーとの結婚です。

ライターだけの収入だけでは不安を感じた

フリーライターとして活動を始め2年が経つころ、現在のパートナーと結婚を前提に同棲をしようという話になりました。引っ越し費用はもちもん、結婚後に掛かる費用を考えると、正直フリーライターとして波のある収入では不安に感じるように

悩んだ結果、フリーライターを続けながらもう1つの収入源を増やすため、転職活動を始めることにしました。

結婚を見据え正社員登用を目指して大学の事務補佐員に

フリーライターと両立して働ける仕事を探していたところ、近くにある国立大学の事務員補佐の求人を見つけました。「この仕事ならライターの仕事を続けながら、結婚に向けて資金を集められそうだ」と考え面接を受けることに。

私の年齢では正社員としての採用は難しいとのことで、契約社員としての採用になりました。

大学では医学部に配属され、企業から依頼を受けて行う臨床研究の研究費の管理などが主な業務。残業もほとんどなく、人間関係にも恵まれ、とても楽しく働けていました。

3年働けば、正社員と同じような待遇の正規職員を目指せる試験を受けられるので、このまま試験を受けて正規職員を目指したいなと考えていました

2018年から働き始め、3年目を迎える2020年。またしても私は人生の岐路に立たされることになったのです。

正社員を目前に再び訪れた経済不況と3度目の転職

正規職員の試験を受ける準備を進めていた2020年。大きな出来事がありました。
それはコロナウイルスです。

コロナウイルスによって大学が休校になり、今年の登用試験自体も中止となってしまいました。
収束の目処も立っていないため、大学側もいつ試験が再開できるかわからないという話が出てきている状況…今後のキャリアを改めて考え直す必要が出てきました。

このまま正規職員として腰を据えて働きたいと思っていた私にとっては、先が見えなくなる相当な痛手となりました。

リーマンショックを経験したことで予見できたリスク

私に残された選択肢は2つ。

このまま契約社員として働き正規職員としての登用試験を受けるか、すぐに転職活動を始めるか。

私はリーマンショックを経験していたので、登用が再開するときを待って試験を受け、落ちてしまったとき、他に就職先がないかもしれないと予見をしていました。
2、3月になって日本でも徐々に感染者が出始め、日本の経済にも影響が出るだろうと誰もが予測していたと思います。

そこで、登用試験の案内は毎年4月に来るので、案内がなく人事に相談してもいい返事が返ってこなかったら転職活動の準備を始めることに決めました。

このまま残るべきか、転職するべきかを悩んでいた末に迎えた4月。

予想通り中止が決まり先の見通しもできないということがわかりました。

もちろんコロナ収束後の登用試験再開を待つこともできたのですが、私は今年結婚したこともあり、今のうちから転職活動を始めることを決意。

リーマンショックを経験したことで、日本がこのような状況ですぐに経済体制が回復するのは難しいということはわかっていたので被害が大きくならないうちに行動を起こしたほうが得策であると考えたからです。

コロナウイルスがきっかけで3度目の転職活動へ

正規職員への登用試験が厳しい見通しとなった時点で、私は上司に転職活動をする旨を伝えました。上司との関係も良好で、私が正規職員を目指していることや結婚したばかりということも知っていたため、引き留めなどはなく応援してくれました

転職活動は主にハローワークを活用し、そのほかでは地元特化型のエージェントの登録とIndeedなどの求人情報をチェックしながら行っていました。
その中で3件程応募をして選考に進み、Indeedで応募した会社から内定をいただくことができました。

その会社は港で物資を積み下ろして各地へ運ぶ運輸業を担っている企業で、私は事務員としての採用です。

入社の一番の決め手は働いている人の雰囲気です。選考を受けていくなかでこの企業の面接担当の方や会社訪問時に接した社員の方々がとても暖かく、これから新人として入社をする私を快く受け入れようとしてくれる姿勢が伝わりました。

コロナウイルスによって既に採用の縮小が始まっていたなかでも、無事に正社員として転職が決まり、2ヶ月ほどで転職活動を終えることができました。

さまざまな働き方を経験したからこそできること

転職が決まり、今は引継ぎ業務に追われてバタバタな日々を送っています。新しい職場でやっていけるかという不安よりも引継ぎが無事に終えられるかという不安のほうが大きいです。

また異業種への転職となるのでどんな風に働くことになるかは未知数ですが、3度目の転職になるのできっとなんとかなるだろうと前向きな気持ちで過ごせています。

副業として続けてきたライターの仕事はというと、正社員になるにあたって一度休もうと思っています。というのも、転職先はまだ副業が推進されていなく、禁止はしていないけれどいいと思われていません。

ただ、今後は副業にも寛容にしていきたいという方針もあるらしいので、これまで副業を続けてきた経験者としてそういった社内整備にも関わっていけたらとは考えています。

コロナ禍でわかった正社員という安心さ

フリーランスや契約社員など、さまざまな働き方を経験して感じているのはどの働き方にも一長一短があるということです。

契約社員だと時間の拘束もそこまでなく責任も少ないかもしれないのですが、今回のコロナのように経済状況が悪化してしまったときは、真っ先に首を切られてしまいます。

また、個人事業主だと税金などの管理を自分でしなければいけないし、仕事を取らなければ食べていけないというプレッシャーも感じるでしょう。明日仕事がないかもしれないという不安もありますが、自由に時間を使えるというメリットもあるのです。

色々な働き方を経験をしましたが、今は正社員という働き方を選びました。

今の日本では、今回のコロナのような経済的な不況が訪れたとき、正社員という働き方は労働形態として一番守られていると感じています

もともと会社員は無理だろうと考えてさまざまな働き方をしてきた身なので、この先もずっと正社員として勤務するかはわかりません。でも、せっかくご縁をいただいて働くことになった以上、これまでの自分の経験を活かして少しでも会社をいい方向に変えていけたらと思っています。

転職をするならこれまでの経験をどう活かすかを考えることが大切

これまで3度の転職を経験して、働き方も選んできた身としては安易に何でもやってみるのはリスクもあったなと感じています(笑)

転職を考えている時は、先に自分の経験を掘り下げることが大切だと私は学びました

転職をしようと考えるということは、これまでのことを切り替えて自分がゼロの状態に戻ろうとしていること。ただ、全部ゼロにするのではなくて、今までの経験から自分は何を持っていて、新しい環境で何ができるのかを考えると、全くの異業種への転職でも、これまでの経験を活かせるかもしれません。

取材・執筆:渡辺健太郎(けんわた)(けんわた@美容とジェンダー
編集:chewy編集部 はら