「野放図」とは「ずうずうしい」「だらしない」という意味
野放図に振る舞うのはやめなさい
乱暴な言動をしたり、お金を無計画に使ったり、お酒に入り浸ったり……これは典型的な「野放図」の例です。
「野放図(のほうず)」とは「ずうずうしい」「だらしない」という意味の言葉。あまり普段見かけない言葉なので知らないという人も多いでしょう。文学作品や落語で使われていることがあるので、これらに造詣が深い人にはお馴染みかもしれません。
「野放図」の読み方・漢字
「野放図」は「のほうず」と読みます。「やほうず」と読んではいけません。
また、「野放図」は「野方図」と書く場合もあります。
「野放図」の由来
言葉を知らなければ「野放図」から意味を推測することはできませんよね。「野放図」の由来は諸説あります。
「野放図」は「野」と「放図」に分けることができます。「放図(方図)」は「限り」「際限」という意味。ここでの「野」は見下げる、卑しめる意味を持ちます。あわせて「際限がない」「キリがない」、つまり、「ずうずうしい」「だらしない」という意味になりました。
また、「野放図」は「野風俗」が変化した言葉という説もあります。「卑しい風俗」「よくない風俗」、ここでの「風俗」は「性風俗」ではなく、単に「風習」「習慣」といった意味です。
「野放図」の使い方・例文
・野放図な第一印象を抱かせる容姿をしていたが、内面は意外としっかりしていた ・野放図に振る舞ってきたせいで周りからの信用が得られていない ・野放図な暮らしを改めたいならまずは身の回りを掃除しなさい
言うまでもありませんが、「野放図」はいい意味では使われません。使い方には注意してください。
「魯迅」の「野放図」
「魯迅」の『故郷』にも「他の人のように、やけを起こして野放図に走る生活を共にすることも願わない」という一文があります。『故郷』で「野放図」を知ったという人もいるでしょう。
ここでの「走る」は「その状態に向かう」という意味。「他の人のように、やけを起こして堕落する生活をすることも願わない」と言い替えることができます。
「野放図」の類語
・わがまま ・横柄(おうへい) ・傍若無人(ぼうじゃくぶじん) ・しまりがない
他にも「野放図」の類語はあります。「野放図」では伝わらない可能性が高いので、日常で使うにはこれらに置き換えましょう。
・野放図に振る舞うのはやめなさい ⇒わがままに振る舞うのはやめなさい ⇒横柄に振る舞うのはやめなさい
「野放図」を英語で
He is selfish ⇒彼は野放図だ
「selfish」で「野放図」を表しています。とはいえ、「selfish」は「わがまま」と訳した方が自然でしょう。「egoic」も「野放図」「わがまま」と訳せるワードです。
「野放図」は教養として
「野放図」は日常会話やビジネスシーンではほとんど使われないワードですが、教養として知っておくと役立つ日が来るかも。または人知れず相手を非難する際に役立つかもしれません。