『粛然』とは『何の物音もせず静まり返っている』という意味
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『粛然』とは、『何の物音もせず静まり返っていること』や『おごそかで整っていること』を意味する言葉です。
しかし、日常の生活を送るうえで、シーンと静まり返っているときに『粛然』は使いません。それでは、どのようか状況下で使う言葉なのでしょうか。
ここでは、『粛然』の正しい意味や使い方だけでなく、一緒に覚えておきたい類語、対義語、英語表現についてもわかりやすく紹介します。
『粛然』意味
『粛然』は『しゅくぜん』と読み、次の意味をもつ言葉として使われます。
①何の物音もせず静まり返っていること。
②おごそかで整っているさま。
③礼儀正しく静かにかしこまっているさま。
①の意味について。現実には、何の物音もしない場所はあまりないかもしれません。しかし、スマホの着信音、時計の音、車の騒音など、機械的な音がしない大自然の静けさを味わうことができますよね?このようなシーンとした空気感を『粛然』といいます。
②については、富士山や神社仏閣など、由緒正しく、おごそかな雰囲気できちんと整っている様子をいいます。
③については、天皇陛下の即位式、慰霊祭など、礼儀正しくしなければならないような大きな祭典を想像するとわかりやすいです。
『粛然』の使い方・例文
ただ『静か』というだけでは『粛然』は使いません。また、おごそかな雰囲気の中に入るといった状況も頻繁にあるわけではありません。そのため、『粛然』の使い方はイメージしにくいでしょう。
そこでここでは、どのような会話や文章の中で使われるのかを、例文でいくつか紹介します。場面を想像しながらぜひ読んでみてください。
■陛下の即位式は、テレビで観ているだけでも粛然たる気持ちになる。
■亡き母の墓前に粛然たる思いで手をあわせた。
■社長の就任式はこれで3回目になるが、これほど粛然とした雰囲気に包まれたのは初めてだ。
■クラシックコンサートで指揮者が手をあげ、最初の音がなるまでの粛然とした空気は観客側としても緊張してしまう。
■粛然とした森の中を歩いていると、あわただしい日常を忘れている。
『粛然』の類語
『粛然』には、『何の物音もせず静まり返っているさま』『おごそかで整っているさま』『礼儀正しく静かにかしこまっているさま』と3つの意味があり、類語はそれぞれの意味により異なります。
【閑静(かんせい)】
もの静かで落ち着きのあるさま。
【静粛(せいしゅく)】
ひっそりと静かに慎んでいるさま。
【静寂(せいじゃく)】
しんと静まりかえり寂しいさま。
【清閑(せいかん)】
世俗のわずらわしい事柄もなく静かなさま。
【粛々(しゅくしゅく)】
ひっそり静かなさま。おごそかなさま。
・神々しい
・整正
・ものものしい
・重みがある
・風格がある
・落ち着いている
『粛然』の対義語
『粛然』の対義語は、『騒然(そうぜん)』で、ざわざわと騒がしいさま、おだやかさがなく落ち着かないさまを表す言葉として使われます。
『粛然』の英語表現
『粛然』を英語表現は、『静かなさま』の場合は『quietly』『silently』を、『おごそかなさま』の場合は『solemnly』を使います。
・Stand there silently.(粛然とその場に立ち尽くす。)
・It was raining quietly.(粛然と雨が降っていた。)
・We will hold an event solemnly.(厳粛にイベントを開催します。)
状況に応じて『粛然』をうまく使ってみよう
ビジネス上の祭典や日常生活の中で、『静か』『おごそか』といった簡単な言葉ではなく、もっと違った表現をしたい場合はあるでしょう。ここで紹介した『粛然』の意味や類語を正しく理解し、状況に応じて会話の中でぜひ使ってみてください。