さもありなんとは『提示に対する深い同意』
新人
先輩
新人
さもありなんという言葉を聞いたことはあっても、意味を知らないという人もいるでしょう。日常会話の中よりも新聞などの活字で目にしたことがあるかもしれません。
今回は、さもありなんの意味だけでなく、ビジネスにおける使い方や語源についても解説します。
さもありなんの意味をチェック
さもありなんとは、物事に対して『そうであってもおかしくない』『もっともそうだろう』『当然である』ということを指す言葉です。
例えば「彼が先日の大会で優勝しましたね」「さもありなん。彼は厳しい練習をこなしているからな」というように使われます。
さもありなんの語源について
『さもありなん』を漢字で表すと「然もありなん」です。当然の「然」があてはまります。語源をたどるために品詞分解をすると「然」「も」「あり」「な」「む」と分けることができます。細かく意味を要約してみましょう。
まず「然」の副詞と「も」の係助詞が合わさり「然も」となります。然もは古語で「そのとおり」という意味です。
「あり」は補助動詞「な」は完了の助動詞「む」は推量の助動詞となり、合わさることによって「ありなむ」となります。古語ではありなむは「きっとそうであろう、たしかにそのとおり」という意味です。
ちなみに推量の「む」は発音の関係上「ん」に変化する場合があり、然もありなんもこれに当てはまります。
然も「そのとおり」+ありなん「きっとそうだろう」が合わさることによって「もっともそうであろう」という意味となるのです。
さもありなんと古語との関係
さもありなんは方言ではなく古語です。さもありなんは現代に生きる古典日本語として考えられており、2006年日本語教育国際研究大会において大阪大学の金水教授にて紹介されました[efn_note]参考:現代に生きる古典日本語|2006年8月5日 金水敏(大阪大学)[/efn_note] 。
徒然草では「さもあらんかし」と表現されています。「かし」は古語において終助詞に分類され、意味としては強い念押しです。徒然草では「もっともそうだよね」という意味で使われています。
また、古語の「むべなるかな」を末尾に足すことによって、「さもありなんむべなるかな」という表現に。意味は「なるほど」「そうだったんだ」「そのとおり」です。
さもありなんはビジネスでも使える言葉
さもありなんは、ビジネスでも使いやすい言葉です。例えば、同僚や後輩が仕事で成功したときなどに「当然、そうなると思った」と実力を認め、ポジティブな方向に持ち上げることができます。
ただし、上から目線にとらえられることもあるため、上司や顧客へ安易に使用するのは避けましょう。また、失敗した相手に使用すると、ネガティブにとらえられる恐れもあり注意が必要です。
なお、新聞や参考書など仕事に役立つ資料で「さもありなん」という言葉が使用されていることもあります。意味をしっかり理解しておきましょう。
さもありなんの英語表記
さもありなんには明確な英語表現はありません。近い熟語では以下が考えられます。
-
『it is probably so』多分そうであろう
『not surprising』当然である
『it is natural』当然だ
上記の英熟語を活用して例文を作ってみましょう。
It is natural considering the grades.
成績を考えると当然だ。
That rock is really heavy so he probably can’t move it.
その岩は重いので彼には動かせないでしょう。
Not surprisingly, she won the tournament.
当然のことながら、彼女はトーナメントに勝った。
さもありなんと無理からぬの違い
さもありなんの類語で「無理からぬ」という言葉があります。品詞分解すると、形容詞「無理」に「ぬ」という打消しの助動詞の組み合わせ。「無理ではない」「もっとも道理だ」「当然だ」という意味で、無理と逆の意味合いになっています。
さもありなんと非常に近い意味ですが、無理を「ぬ」という打消しの助動詞を組み合わせているので『さもありなん』と比較すると柔らかい表現をしたいときに使用しやすいです。
例えば「彼が落ち込んでいても無理からぬことだ」や「つらい境遇で家出しても無理からぬことだ」など仕方がない場合などに合わせやすい言葉になります。
さもありなんの使い方・例文
それでは、さもありなんの例文を見てみましょう。
先輩
上司
先輩
上司
さもありなんは会社でも使いやすい言葉
『さもありなん』という言葉は、日常ではあまり聞かなくなりました。しかし、意味を理解するとビジネスにおいて相手を気軽にポジティブにできる活用方法が無限にある言葉でもあります。元々は古語であるため上品に聞こえるのも利点です。きちんと意味を理解して使ってみましょう。