浮世離れとは『世間の常識にとらわれない、無頓着なこと』
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世間の常識に捉われない行動をとることや一般常識とはかけ離れた思考を持っていることを『浮世離れ』といいます。浮世とは文字通り、世の中から浮いた存在という意味であり、世間一般の常識が当てはまらない人物に対して浮世離れという言葉を使用することがあります。
上記の会話のように、今ではほとんどの人が所持するスマートフォンを必要としない人はまさに浮世離れしているといえるでしょう。なぜなら、スマートフォンは現代社会で生きていくためには必須なアイテムだからです。
ここまで聞くと、常識が欠如している人物に対して使用する印象を持つかもしれませんが、浮世離れは実は広い意味を含んだ言葉です。今回は浮世離れの言葉の由来や本質、使い方などを解説します。
浮世離れの意味をチェック
浮世離れとは、『世間の常識に対して無頓着なこと』を意味する言葉です。
ここでは、浮世離れの本来の意味や、言葉が生まれた由来、具体的にどんな人が浮世離れに当てはまるのかを見ていきましょう。
浮世の本来の表記は憂き世=俗世間
浮世離れは本来「憂き世離れ」と書き、辛くて鬱々とした世の中を指す言葉でした。ですが、日本に仏教が布教した影響で、「無常の世の中」という意味合いが強くなり、「浮世」という表記が広まったと言われています。
浮世離れの由来は?
「憂き世離れ」が『浮世離れ』と呼ばれるようになったのは、平安時代に「世の中は無常で、はかないものである」という仏教の思想が広まったことが由来です。
言葉に込められた意味が変化したことによって、「浮世(ふせい」と表記されるようになりました。
その後、江戸時代になり、徳川幕府によって国が発展し、民衆はゆとりのある生活を送ることができるようになると、「はかない世の中で過ごすくらいなら、浮かれて楽しもうではないか」という享楽的な考え方が広まりました。
こうして、『浮世離れ』は『世間や常識から大きく離れていること』を表す言葉となったのです。
お金持ち・社会的地位の高い人・独特な人を表す
『浮世離れ』とは、常識はずれなこと・一般の人には理解のできない行動を取ることという意味に捉えがちですが、良い意味で突出した人にも使う言葉です。
例えば、普通の人なら理解できないような芸術的センスを持っている人や社会的に成功した人に対しても浮世離れという言葉を使います。
浮世離れの英語表記
浮世離れはどのように英語で表記するのでしょうか。例文も紹介するので、見ていきましょう。
【otherworldly(別の世界)】
This is a strange ,otherworldly incident.
これは奇妙で浮世離れした出来事だ。
【secluded from the world (世間から離れている)】
He likes a place secluded from the world.
彼は浮世離れした閑静な場所を好む。
浮世離れと現実離れの違い
浮世離れの類義語に「現実離れ」があります。どちらも世間の常識では考えられないというニュアンスを持っていますが、実際の意味は少し違います。
現実離れの意味は「世間の常識や価値観からかけ離れていること」「リアリティに欠けること」「現実感がないこと」です。
浮世離れは世間一般にある価値観とのズレを表していますが、現実的に起こりえる事柄を指します。しかし、現実離れは現実では起こるはずがない、ありえない事柄を指しているのです。
浮世離れの使い方・例文
最後に浮世離れがどのような場面で使われるのか、2つの例文をあげてみます。
先輩
上司
新人
先輩
浮世離れのニュアンスを理解して使おう
「浮世離れ」とは、世間の常識に無頓着なことを指す言葉です。感性豊かなクリエィティブな職種や、社会的に大成功した人、大富豪などに対して使うこともあるようです。
もともと「浮世離れ』」は人生を悲観するような言葉でしたが、江戸時代に入り、享楽的な生き方を意味するようになりました。江戸時代の風俗や歌舞伎役者を描いた作品が『浮世絵』と呼ばれるのは、そういった経緯があるからです。
そうした流れから浮世離れは社会的な常識がない人や協調性の欠ける人など、ちょっとネガティブな意味で使われることもあります。その語源や背景にある歴史などを理解し、正しく使用しましょう。