万事休すとはどんな言葉?
新人
上司
新人
万事休すは、ほとんどの人が一度は耳にした経験がありますよね。あたりまえのように使用されている日本語です。
しかし、そのわりに正しい意味で使っていない人も多く、注意が必要な言葉になります。
万事休すについて学び、社会人として恥ずかしくない国語力を身につけましょう。
万事休すの意味とは「もはやおしまい」
万事休すの読み方は「ばんじきゅうす」です。たまに「万事窮す」と書く人もいますが、これは間違い。
万事休すは、絶望的な状況で使う言葉になります。
万事休すは、まだものごとの結末を迎えてはいません。しかし、近い未来に待つその結果が失敗や敗北で確定していて、完全にすべての望みが断たれていることを意味します。
まだ多少の望みが残されている絶体絶命と間違いやすいので注意してください。
万事休すの語源・由来
万事休すの語源・由来には、複数の説があります。その中でも特に有力と考えられているものを2つ紹介するのでみてみましょう。
白居易・老熱
白居易(はく きょい)は、唐代中期に活躍したといわれている詩人です。
白居易が作った「老熱」という詩に「一飽百情足 一酣万事休 何人不衰老 我老心無憂」という一節が登場します。
上記でマーカーを引いた部分が、「一酣万事休」に対応した箇所。お酒を飲んですべての憂いを忘れ楽しむのが「一酣万事休」。日本語の「万事休す」とは違いまったくマイナスの意味合いがありませんね。
宋史・荊南高氏世家
宋史は、唐の後に中国を治めた宋王朝の歴史をまとめた書物です。
万事休すの由来なのではないかといわれているのは、次のようなお話になります。
荊南(けいなん)という小国の王子は、王に溺愛されていました。王の馬鹿親っぷり知った国民たちは、国の滅亡を覚悟して「万事休す」と思いました。その予感通り、王子が王になると人の心は離れ、ほんの数ヶ月で国が滅んでしまいました。
こちらのほうでは、日本語の「万事休す」と同じように最悪の状況を表すニュアンスになっています。
万事休すの使い方・例文
万事休すは「もう手の尽くしようがない」という意味なので、ほかの人のことについて用いるときには、相手がどう感じるが重要になります。
自分がまだ諦めていないのにほかの人から万事休すといわれたら、腹が立ちますよね。
失礼な言い方にならないか、よく考えて使うようにしましょう。
上司
先輩
先輩
上司
万事休すの類語
万事休すの類語は「事ここに至る」「刀折れ矢尽きる」「弓折れ矢尽きる」「万策尽き果てる」です。
刀折れ矢尽きる(かたなおれやつきる):戦う手段や、ものごとに立ち向かう方法がなくなること
弓折れ矢尽きる:刀折れ矢尽きると同じ意味
万策尽き果てる(ばんさくつきはてる):できる限りのあらゆる手段を試し、これ以上はもう手立てが何もないこと
これらの言葉はすべて、結果として失敗するというニュアンスをもっています。挽回できる余地が残っているときには使えません。
万事休すの逆・反対語
万事休すの逆は、ピンチを乗り越えて事態を改善させる。万事休すの反対語には「起死回生」「虎口を脱する」「死線を越える」があります。
虎口を脱する(ここうをだっする):非常に危険な状況から抜け出すこと
死線を越える:生死の境を乗り越えること
そもそも危険な状態にならないことを万事休すの逆と考えるなら、危なげがないという意味の「大丈夫」が反対語になります。
万事休すの英語表現
万事休すを英語で表現するときには「all up with」を使えばOK。
「It’s all up with me.」のように「be動詞+ all up with +人」で「もうだめだ」という意味になります。
また、「be all over」は「完全に終わっている」という意味で、万事休すを表すことも可能です。ただ「all over」 は「いたるところ」という意味にもなるので、気をつけてください。
万事休すになったらあきらめるのが吉
万事休すになってしまうとどんな手段ももはや無意味です。何をどうしようがすべて無駄。あがけばあがくほど傷が深くなっていきます。
もうすっぱり諦めて手を引きましょう。
一息ついて、次に何をしようか、新しいことを考えるほうが建設的ですよ。