「面目」とは「名誉」という意味
このままでは私の面目が立ちません
これほどまでに日本語を知らない外国人に説明するのが難しい表現があるでしょうか。「フェイス、アイがスタンダップ」と言っても通じません。
「面目(めんぼく)」とは「名誉」「立場」「体面」という意味。「面目が立つ」は「名誉が守られる」という意味なので、「面目が立たない」は「名誉が傷つけられる」のこと。
「面目」の読み方
「面目」の主な読み方は二通り。「めんぼく」と「めんもく」。多くは「めんぼく」と読みます。
どちらが正解でどちらが間違いというものではありません。
「呉音」と「漢音」
「めんぼく」が「呉音(ごおん)」で、「めんもく」が「漢音(かんおん)」。
「呉音」も「漢音」も読み方のスタイルの一つで、中国のどの地方から伝わった読み方かという違いです。「呉音」が南方から、「漢音」が都の方から。
平安時代には「漢音」を正式な読み方として役所や学者に、「呉音」は仏教用語や官職名に用いられることが多かったようです。
「面目」の語源
「面目」は中国語由来の言葉。元は「顔」「顔つき」という意味で、現在でも中国ではその意味で用いられています。
仏教用語の「面目」
「面目」は仏教用語にもあります。
仏教での「面目」は「人間のあり方」という意味。仏教用語なので「めんもく(呉音)」と読みます。
「面目」のよくある言い回し
・面目ない ・面目が立つ ・面目をつぶす ・面目丸つぶれ ・面目を失う ・面目次第もない ・面目にかけても ・面目を施す ・面目を一新する
よく使う「面目ない(恥ずかしくて合わせる顔がない)」や「面目をつぶす(名誉を失う)」から、「面目を施す(名誉を保つ)」「面目を一新する(低い評価を一新して高い評価を得る)」まで、「面目」を含む言い回しはたくさん。
「面目」を「名誉」や「体面」などに置き換えると意味は大体わかりますね。
「面目ない」は謝罪の言葉ではない
「面目ない」「面目ありません」は「恥ずかしい」というニュアンス。謝罪の場面で使うことも多いですが、これ自体に謝罪の意味は含まれていません。
「申し訳ありません」等の謝罪の言葉も忘れずに。
「面目」を含む四字熟語
「面目」を含む四字熟語に「面目躍如(めんもくやくじょ)」があります。
「面目躍如」は「その人本来の姿で生き生きとしている様」を意味します。また、その結果、名誉や世間体が高まる様を表しています。
ここでは「めんもく」と読むので注意。
「面目」の類語
・名誉(めいよ) ・面子(めんつ) ・体面(たいめん) ・体裁(ていさい) ・世間体(せけんてい)
「面目」の類語はこれらです。
「面目を失う」であれば、「名誉を失う」「体裁を失う」と言い換えることができます。
「面目」は大事だけど
「面目」にこだわるのも大事です。特に仕事の場合はネームバリューが売り上げや評価に直結することも。
とはいえ、「名を捨てて実(じつ)を取る(うわべの面目よりも利益を取る)」ということわざもあります。うわべの「面目」にとらわれて本当に大事なことを見失わないようにしてください。