エスノグラフィーとは『対象者の行動を観察・理解する手法』
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エスノグラフィーとは、本来「民族学」や「文化人類学」などで用いられる研究方法のひとつで、調査対象者と一緒に生活をしてみることで相手をより深く理解するというものです。これをマーケティングに取り入れることで、どのような変化がみられるのでしょうか。
この記事では、エスノグラフィーの意味について詳しく解説するとともに、取り入れるメリットや言葉の使い方をご紹介します。
エスノグラフィーの意味をチェック
マーケティング市場におけるエスノグラフィーとは、売り手側の先入観を排除し、顧客の潜在的に眠るニーズをあぶり出す方法のことです。
本来の意味になぞらえて例を挙げるならば、ある外国の孤立した集落に住む人々を研究すると仮説します。ただその集落で暮らす人々にインタビューをとるだけでは、表面的な情報しか得られません。
そこで、エスノグラフィー調査を行うためにその集落で数週間暮らしてみます。そうすると、思いもよらぬ疑問や発見があり潜在的なニーズに気づくことが可能になるわけです。
こうした「相手をより深く探って理解する」ということはマーケティング市場でも求められています。
エスノグラフィー調査の手順
エスノグラフィー調査は次のような手順で実行していきます。
調査対象者を絞る
調査を行う
結果を分析しまとめる
エクストリームユーザーとは、偏った考え方を持ったユーザーや訳あって絶対にその商品を使えないユーザー、反対に一般的なユーザーよりも大量に商品を使用しているヘビーユーザーなどのことです。
彼らがそうなった過程や深層心理などが一般ユーザーにも当てはまるため、エクストリームユーザーを対象者に選びます。
調査をおこなう際には、対象者の自宅に調査員が行き一緒に生活を体験することもあります。また、調査会社によっては部屋にカメラを設置したりウェアラブルカメラで対象者の視界を撮影したりすることも珍しくありません。こうして調査した結果を分析しまとめます。
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エスノグラフィーを取り入れる3つのメリット
マーケティング市場でエスノグラフィーを取り入れた場合、以下3つのメリットがあります。
ありのままの現状を理解できる
対象者の行動の背景が見える
調査をする側が実際に生活を体験することで、先入観を持つことなく対象者の視点から疑問を見つけたり新しい発見をしたりできるわけです。
エスノグラフィーの英語は『ethnography』
エスノグラフィーの英語表記は『ethnography』です。語源はギリシャ語で「ethnos(民族)」と「graphein(記述)」が組み合わさっていて「民族誌」などと直訳されます。意味は日本語と同じく、行動観察の研究方法の1つです。以下、例文です。
民族学の研究施設として、エスノグラフィー・センターが設立された。
マーケティングの一環としてエスノグラフィー調査を取り入れよう。
エスノグラフィーとデプスインタビューの違い
似たような言葉で「デプスインタビュー」がありますが、こちらもマーケティング市場で用いられる調査手法の1つです。デプスインタビューでは、調査対象者が言葉で表すことのできる「価値観」を調査します。例えば「なぜこの化粧品を選んだのか」「どこが気に入ったのか」などをインタビューしながら対象者の趣味嗜好を探っていくのです。
一方エスノグラフィーでは、「なぜこのように触るのか」「なぜいつもここにティッシュを置くのか」など対象者が無意識化で行っている行動を探ります。つまり、どちらが優れているということはなく、両方の手法を用いることでより具体的なアイディアをあぶり出せるというわけです。
エスノグラフィーの使い方・例文
ここでは、エスノグラフィーという言葉がビジネスシーンでどのように使われるのかをご紹介します。
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エスノグラフィーで隠れたニーズを汲み取ろう
エスノグラフィーをマーケティングに用いれば、顧客の隠されたニーズをあぶり出し、より良い商品・サービス開発が行えます。ぜひ意味をしっかりと理解したうえで、上司や先輩に提案してみてください。