「物々しい」とは「威圧感がある」という意味
物々しい空気が漂う中、質疑応答が始まった
深刻そうな顔が並ぶ中、うつむきがちに当事者が口を開く…こんなシーンをニュースで見かけることがありますよね。
「物々(ものもの)しい」とは「重々しくて威圧感がある」様子を表した言葉。シリアスな場面、修羅場などで誰しも一度は経験したことがあるかと思います。
「物々しい」はなぜ「物」を使う?
雰囲気がシリアス、責任が重大なことを「重苦しい」、「重たい」ということがあるので「重々しい」は理解できます。しかし、「物々しい」はちょっとよくわかりません。そもそも「物」を名詞以外で使うことってないですよね。
「物々しい」の語源は「物(もの)し」であるといわれています。「物し」はかつて使われていた表現で、「不快だ、目障りだ」という意味がありました。
これが「物々し」になり「物々しい」へ。意味も変遷していきました。
その他の「物々しい」の意味
「物々しい」の意味は「威圧感がある」だけではありません。
・威圧感がある ・堂々としている ・大げさ
「威圧感のある」雰囲気、「堂々とした」見た目、そして表現や動作が「大げさ」。これらが「物々しい」の意味です。
「威圧感がある」「堂々としている」はいい意味でも悪い意味でも使うことがあるのに対して、「大げさ」は基本的に悪い意味でしか使いません。
「物々しい」の類語
・重々しい ・大げさ ・威厳がある ・わざとらしい
「物々しい」はこれらの表現に置き換えることができます。どの意味で使っているか文脈から判断しましょう。
「物々しい」の使い方・例文
・物々しい警備をかいくぐって会場入り ・物々しい甲冑姿の武将が現れた ・事件現場では物々しい警戒態勢が敷かれている ・一見すると物々しいが笑顔は人懐っこい ・新聞には物々しい言葉が並べられている ・ガスマスクは少々物々しい気がするが慣れれば快適 ・物々しく足を引きずって審判にアピール
「物々しい」を「大げさ」という意味で使うと少々揶揄する(馬鹿にする)ような意味合いになります。「大げさ」とも「威厳がある」ともとれる言い方をしてしまうとトラブルになる可能性もあるので注意しましょう。
「物々しい」を英語で
The atmosphere in the room was heavy ⇒部屋の雰囲気は物々しかった(重々しい) The language is pompous ⇒ 言葉遣いが物々しい(大げさ)
「heavy」で「物々しい」を表現しています。「重々しい」とした方がしっくりくるかもしれません。
「大げさ」という意味で「物々しい」を使いたい場合は「pompous」。「もったいぶった」「きどった」という意味があります。
どの「物々しい」なのか
「威厳がある」と「大げさ」を一つの単語で表していますが、実はそれほど違いはないのかもしれません。
後輩に威厳を見せつけようと思って無理して堂々として見せても、裏では大げさと揶揄される…。「物々しい」と一言でいってしまえばどれも同じですが、それぞれのニュアンスの違いを確認しておきましょう。