「拝借」とは「お借りする」という意味
お手を拝借!よぉー
「お手を拝借!」といえば、宴会やパーティーの終わりに行われる手締めですよね。一本締めや三本締めで「よぉー、パン!(パン!パン!)」というアレです。
「拝借(はいしゃく)」とは「お借りする」という意味。「借りる」を謙譲表現にしたものです。貸してもらう相手を立てて自分を下にするへりくだり表現。
「お手を拝借!」の場合は「お手をお借りします」と言って手締めに協力してもらっています。
「拝借」の使い方・例文
「拝借」の具体的な使い方を例文で確認していきましょう。
・お手を拝借! ・原本を拝借させていただきます ・お手洗いを拝借してもよろしいでしょうか? ・お知恵を拝借させてください ・お知恵を拝借したく存じます ・お力を拝借させていただけないでしょうか?
「拝借」は「お借りします」よりも丁寧な響きがあります。「お手を拝借!」はお決まりフレーズとして定着していますが、それ以外のシーンでは「お借りします」で充分でしょう。
「拝借」はお客様や取引先の重役など、特に敬意を示さなければいけない相手に対して使用します。またはパーティー等で大勢に向けて発言する際も適切。
普段の会話で、同僚に「ちょっとペンを拝借させてください」と言うと逆におどけているように聞こえてしまいます。
ビジネスシーンでは「お知恵を拝借」「お力を拝借」といった表現もよく使われます。「手を借りる」の感覚で「お手を拝借」と言ってしまうと、手締めになってしまうので注意。
「拝借いたします」は誤用?
「拝借」はこれだけで謙譲の意味を持つので、「拝借します」で充分です。しかし、「拝借いたします」「拝借したく存じます」と他の謙譲表現を付けてしまうと二重敬語に。
二重敬語は一般的に過剰な表現として避けるべきとされていますが、慣習的に使われている表現も多いです。
「拝借いたします」もよく使われている表現なので問題ないでしょう。
「拝借」の嫌な使い方
「いや、ちょっと拝借しただけだって!盗む気はなかったんだ!」。「拝借」は盗みを働いた人の言い訳としてもお馴染みです。「拝借」はこのように嫌な使い方をされることがあります。
「拝借」=「盗む」という認識の人がいてもおかしくないかもしれません。
スリや強盗、空き巣は論外としても、傘や自転車を悪気なく盗んでいく人っていますよね。「拝借した」と丁寧に言われても許せません。丁寧な言い方をして罪の意識を消そうとしているのかも。
「拝借」の類語
「拝借」の言い換え表現にはどのようなものがあるのでしょうか。
・お借りする ・レンタル ・借用(しゃくよう) ・借り入れる
「お借りする」以外は謙譲表現ではないので使う際は注意。
「借用」や「借り入れる」は特にお金を借りる際に使われることが多い表現です。
「拝借」を英語で
「拝借」は英語ではどのように表現できるのでしょうか。
May I borrow this? ⇒こちらを拝借(お借り)してもよろしいでしょうか
「May I borrow」で「拝借」を表しています。「please」をつけるとより丁寧な表現に。
手締め文化は日本特有のものですが、説明するとしたら「Let’s clap together!」で「お手を拝借!」を表すことができます。
「拝借」を使う機会は
「拝借」はそれほど使う表現ではないので、「お手を拝借!」ぐらいしか使う機会がないかもしれません。とはいえ、手締めの掛け声は目上の人がやることが多いので、新人のうちはそれすらないかも。
「お手を拝借!」を任せられるだけではなく、「お力を拝借させてください」といわれるようなビジネスパーソンを目指しましょう。