「当該」とは「それ」という意味
当該社員の懲戒解雇が決定しました
犯罪はもちろん、無断欠勤や経歴詐称も懲戒解雇の対象です。セクハラやパワハラも重大と判断されたら対象になります。
このように事件や不祥事の発表・報告でたまに見かける「当該社員の…」といった表現。
「当該(とうがい)」とは「それ・その」という意味。今、話の中で話題にしている物・人を指してます。
形式的にしなければいけない謝罪文や不正、不具合の報告で使用されることが多い堅い表現。もちろん、悪い使い方だけではありません。
「当該」の使い方・例文
「当該」の具体的な使い方を例文で学んでいきましょう。
・昨夜県境で窃盗事件が発生しました。当該事件については○○県警が捜査中です ・文学部4回生1名を停学処分とすることを決定しました。当該の学生は~ ・弊社が製造した炊飯器に不具合が見つかりました。当該製品を無償点検いたします ・統計情報を提供します。当該データの販売店として~
「その(この)事件」「その学生」「その製品」と言い換えることもできますが、「当該」を使った方が締まる感じがします。
「当該」と「該当」の違い
「当該」とよく似た、というか前後入れ替えただけの言葉、「該当(がいとう)」。意味も似てはいるものの、明確な違いがあるので、これを機に使い分けできるようにしておきましょう。
「該当」は「ある条件に当てはまる」という意味。例えば「応募条件は20歳以上、該当する人は~」といったように使います。
仮に、ある商品に異物が混入していたとして回収されたとします。異物が混入していた「当該商品」は一つだけですが、回収された「該当する商品」はたくさんあります。
「当該」は「当該○○」「当該の○○」といった使い方をします。一方、「該当」は「該当する○○」。「該当する○○」を略して「該当○○」もあるので見間違いに注意。
お堅い文書で使われることが多い「当該」に比べて、「該当」は堅い文書からビジネスメール、気楽な日常会話でまで広く使われています。
当該 | 該当 | |
意味 | それ | 条件に当てはまる物・人 |
使い方 | 当該○○、当該の○○ | 該当する○○、該当○○ |
使われるシーン | 堅い文書 | お堅い文書から気楽な会話まで |
「当該」の類語
「当該」の言い換え表現にはどのようなものがあるのでしょうか。
・当(とう) ・本(ほん) ・同(どう)
「当事業」、「本事業」、「当該事業」といったように「当」、「本」は「当該」と同じように「それ」という意味。「当該」ほど堅苦しい表現ではなく、通常のビジネスシーンでよく目にします。
「当」と「本」の違いは微妙ですが、「当日」と「本日」の違いと言えばイメージしやすいかもしれません。「当」よりも「本」の方が近いニュアンス。「当サイト」と「本サイト」では、前者が話題にしているサイト、後者が自分のサイトという意味合いで使い分けることができます。
「A社は創業20年を迎えました。同社は~」といったように一度出た事柄に対して使用する表現です。
「当該」を英語で
Said matter will require further discussion ⇒当該事案は更なる議論を必要とします
「said」で「当該」を表現しています。「said」といえば「言った」という意味がすぐ浮かびますが、このような使い方もあることを覚えておきましょう。
また、「in question」「the aforementioned」でも表現できます。それぞれを使って「当該事例」を表してみます。
・said case ・the case in question ・the aforementioned case
悪い印象があるかも
「当該」はそればかりではありませんが、事件や不祥事に使われることが多いので、あまりいいイメージがないかもしれません。「当該社員」なんて表現されることがないように言動には気を付けましょう。