傍らとは複数の意味をもつ言葉
新人
上司
新人
傍らのニュアンスは「距離や位置を示す」と「何かをしながら」の2つ。そこからさらに意味が細かく分かれていきます。
傍らの使い方を習得し、社会人としてレベルアップしましょう。
傍らの意味
まずは、傍らの意味をくわしくみていきます。後ほど、それぞれの意味での使い方を例文で紹介するので、そのときにシチュエーションに合う意味がすっと思い浮かぶようになっておきましょう。
・端に寄ったところ
・側面。ものの脇
・合間に
意味がたくさんあってちょっとややこしいですね。
細かい意味を覚えるのが大変という人はひとまず、傍らは距離と動作を表す2つのニュアンスに大別されると覚えておきましょう。
傍らの語源・由来
傍は、核に「両脇」というニュアンスをもつ漢字として作られました。そこから、傍は「かたわら」や「脇」という意味になります。
傍らは、もともと「そば。脇」「そばにいる人。周囲の人」という意味の古語でした。
現代語では、傍らのみで使う場合「そばにいる人」という意味には普通なりません。
しかし「傍ら寂し(寄り添う人がいなくて寂しい)」のように、熟語の形で「そばにいる人」の意味になるケースはあります。「そばにいる人」というニュアンスも頭の隅に入れておきましょう。
傍らの読み方は「かたわら」
傍らは「傍」を訓読みして「かたわら」と読みます。
「傍」の音読みは「ボウ」「ホウ」。「傍」の音読みを使った言葉には「傍観」や「路傍」 などがあります。
「傍観」の意味は「そばで眺める」。「当事者ではないから口出しはしないよ」という態度で眺めていることを「傍観」といいます。
「路傍」とは「道端」のこと。道の端っこのことですね。
どちらも「そば」や「端」の意味になっています。「傍」の字のニュアンスをちゃんと受け継いだ言葉ですね。
「傍ら痛い」「傍らに人無きがごとし」とは?使い方・例文
昔から用いられている傍らを使った慣用句が、現在でもいくつか残っています。傍らは、この慣用句の形で会話の中に登場するケースも珍しくありません。
傍らの使い方とあわせてよく使われる慣用句の意味も勉強しましょう。状況をイメージしながら例文を読んでください。
先輩
上司
例文1では、傍らを「端に寄ったところ」というニュアンスで用いています。「廊下の傍ら」なら廊下の端っこという意味です。
新人
例文2では「何かをしながら」というニュアンスで傍らを使用しています。
「会社勤めの傍ら資格取得」なら、会社勤めがメインで行う事柄。余力のあるときに資格取得の勉強もしているという意味になります。
先輩
「傍らに人無きがごとし」は、そのままの意味だと「そばに誰もいないかのように」となります。そこから「そばに誰もいないかのように周囲を無視してわがまま勝手に振る舞う様子」を表す慣用句になりました。
上司
この例文での「傍ら痛い」はそばでみていて恥ずかしい。嫌な気分になるという意味で使っています。そのほかに「気の毒」というニュアンスでも使用可能です。
そばにいるのが辛くなるような気持ちをひっくるめて「傍ら痛い」というと覚えておきましょう。
側らなど、傍らの類語を紹介
傍らには同じ「かたわら」という読みで同様の意味をもつ言葉や、似たようなニュアンスで用いる類語がたくさんあります。
言い換えに使える傍らの類語も、この機会に勉強しましょう。
脇ら(かたわら):そば
側ら(かたわら):そば
隣接(りんせつ):隣り合わせの位置関係になっていること
間近(まぢか):時間や場所が近いこと
端(はし):中心から最も離れたへりの部分
がてら:~のついでに
旁旁(かたがた):ついでに
このうち、「側ら」は送り仮名をつけず「側」と書く場合もあります。
傍らの英語表現
傍らがもつすべての意味を一語で表せる英単語はありません。しかし、ニュアンスごとに分けて考えれば次の語句が使えますよ。
beside:~のそばに
besides:~のほかに
nearby:近くの
side:側面
edge:縁、へり
while doing:しながら、するとともに
in addition:ほかに
the side:脇
ちなみに「傍らに寄る」といいたいときには「step aside(脇へ寄る)」を使用すればOK。「aside」で「わきへ」という意味になります。
傍らは使い分けが必要な漢字
「近くにあるよ」といいたいときには傍ら。「何かをしながら別のこともするよ」と伝えたい場合も傍らを使います。
傍らは、いくつもニュアンスをもつ言葉なのでそれぞれの意味を理解し、シチュエーションにあわせて使い分けなければなりません。
傍らの使い方をマスターして、周囲に差をつけましょう!