「天邪鬼」とは「ひねくれもの」という意味
あなたって天邪鬼なところがありますよね
人にこう言われて自分の言動をかえりみる人もいれば、すぐさま言い返す人もいますよね。
後者の人はまさに「天邪鬼」かも…というのは半分冗談ですが、このように人の性質を表す際に「天邪鬼」は使われます。
「天邪鬼(あまのじゃく)」とはわざと人の言動の逆を言ったり行ったりする「ひねくれた人」。こんな人が会社でも学校でも一人はいるのではないでしょうか。
「天邪鬼」の由来
「天邪鬼」は日本神話の「天探女(あめのさぐめ)」という女神が由来とされています。
「天探女」には動物の心を読み取れる力があり、その力を悪用する悪女として『古事記』や『日本書紀』に描かれています。
この「あめのさぐめ」がなまって「あまのじゃく」になったとか。
伝承や説話の「天邪鬼」
おとぎ話や仏教の説話、日本各地の伝承にも「天邪鬼」は存在します。先の「天探女」との関連は不明。
「瓜子姫」の「天邪鬼」
江戸時代の随筆『嬉遊笑覧』に初めて記された「瓜子姫」に「天邪鬼」は登場します。
「瓜子姫」は瓜から生まれた女の子が成長して殿様の妃になる「桃太郎」の女の子バージョンのような話。嫁入りを邪魔する悪役が「天邪鬼」です。
仏像に踏みつけられている「天邪鬼」
仏教において「天邪鬼」は人間の煩悩を表す象徴。
四天王や執金剛神などに踏みつけられている姿で仏像作品で確認することができます。
各地の「天邪鬼」
各地の伝承では人の声真似をする妖怪や山姥、巨人などが「天邪鬼」といわれています。妖怪や鬼の総称として「天邪鬼」が使われているようです。
「天邪鬼」と言われるのはどんな人?
物語の「天邪鬼」のように「雨」が降ってるのに「晴れ」と言ったり、「座れ」と言われたのに「立つ」ような人は現実ではいないですよね。
それでも「天邪鬼」と呼ばれる人はいます。どのような人が「天邪鬼」と呼ばれてしまうのでしょうか。
「天邪鬼」と呼ばれる人の特徴
・目立ちたい ・頑固 ・人と同じが嫌 ・多数意見に流されたくない
目立ちたいから嘘を言ったり、人の意見に反対したりするのは幼稚で嫌われます。視野が狭い頑固な人も同様。
基本的には「天邪鬼」は直すべき悪い癖、習慣として扱われますが、例外もあるようです。
「人と同じが嫌」「多数意見に流されたくない」といった性質はビジネスでは有利に働くことも。
いい意味の「天邪鬼」
人と同じ発想をしていたのでは、新しいコンテンツは生み出せません。起業家や投資家はある意味「天邪鬼」といえます。
誰にでもある「天邪鬼」の一面
新しい計画やチャレンジなど、上司や周囲に反対されればされるほどやる気になることってありますよね。
また、恋愛では周囲に反対されているカップルは盛り上がりやすいともいわれます。
このように良くも悪くも「天邪鬼」の一面は誰にでもあります。うまく付き合っていくことが大切。
「天邪鬼」の使い方・例文
「天邪鬼」はどのように使うのでしょうか。
・天邪鬼なことばかり言ってると嫌われるよ ・彼は恋愛の話になると天邪鬼になる ・ビジネスでは天邪鬼的な視点が重要なこともある ・自分には天邪鬼なところがあるもので…
基本的に人に対して「天邪鬼」を使うと悪口です。使い方を間違えるとトラブルの元になるので気をつけましょう。
「天邪鬼」の類語
「天邪鬼」を面と向かって相手に言うのはトラブルの元。別の言い方はないのでしょうか。
・ひねくれもの ・嘘つき ・根性が曲がっている ・素直でない
基本的には悪口なので「天邪鬼」を言い換えても悪口ばかりです。無理やりいいように言い換えてみます。
・自信家 ・周りに流されない ・考え方が柔軟
正確には「天邪鬼」の類語と言えないようなものも混ざっていますが、いい意味で「天邪鬼」を使いたい際はこれらの表現を使うのもアリです。
「天邪鬼」の英語表現
「天邪鬼」は英語ではどのように表現できるのでしょうか。
He’s such a contrarian ⇒彼はなんて天邪鬼なんだ
「contrarian(反対する人)」という意味で「天邪鬼」を表しています。
「contrary person」でも同様の意味。良くも悪くも常識にとらわれないような存在と言いたいときは「trickster」が使えます。
時に「天邪鬼」として
「天邪鬼」は昔話でも現代の話でも悪い者の象徴のように扱われますが、新しい物・概念を生み出す人はある意味「天邪鬼」と言えます。
理由もなく人の意見や行動に反対するのはいけませんが、目的や信念があれば時に「天邪鬼」と呼ばれることがあってもいいかもしれませんね。