PoCとは『概念実証』
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PoCとは概念を目に見える形にして、検証することです。何か新しいプロジェクトを始めるときに、それが本当に実現できるものなのか、本当に効果があるのかなどさまざまな側面から検証する工程を指します。
といっても、なかなかピンとこないかもしれませんね。ここではPoCがビジネスにとって持つ意義や3通りのニュアンスについて、わかりやすくご紹介します。
PoCの意味をチェック
PoCとは『Proof Of Concept』の略で、概念を実証することです。読み方は『ピー・オー・シー』です。ITツールを導入する際によく使われるのでIT用語のように思われがちですが、決してIT業界に限定された言葉ではありません。もう少しくわしく見ていきましょう。
PoCがビジネスにとって持つ意義
PoCという言葉は、例えば医療であれば新薬の効果や安全性を検証したり、映画ならストーリーがCGで再現できるものかを検証したりする場合に言葉が使われます。PoCが踏むプロセスは概念実証や実証実験とも呼ばれます。
PoCは新しい製品やサービスの開発に着手するかどうかを決める材料となるため、ビジネスにとっては必須のプロセスだといえるでしょう。
特にITの分野ではPoCが重要です。従来、企業でITを活用することの目的は業務の改善や生産効率の向上というものでした。つまり、企業の「内側」をよりよくするためのものです。
ところが現在のIT活用の目的は範囲を広げており、売上の増加や顧客層の拡大など事業の成長そのものに関わっています。つまり、内側だけではなく「外側」に向けたよい影響をもたらすものへと変わっているということです。
IT業界が利用・開発しようとする新しい技術やサービスは、前例のないものであることが多く、実現の可能性や事業の成功に不確実性が伴います。
多額の投資が思わしくない結果につながるのを避けるため、あらかじめPoCで可能性の度合いを判断することの意義はとても大きいのです。
PoCの意味には3通りのニュアンスがあるPoC
このPoCが持つ意味には3通りのニュアンスがあります。それは「ニュートラルなPoC」「お試しのPoC」「業務そのものであるPoC」の3つです。
「ニュートラルなPoC」は、アクションを起こす前に仮説を検証する手法としてのPoCです。
「お試しのPoC」は、一歩踏み出して小さいアクションを起こす場合を指します。つまり、実験的にごく小規模で試してみながら、それが大規模で通用するかを見極めるPoCのことです。
「業務そのものであるPoC」は、「試行錯誤なくしてビジネスはない」という考え方にもとづいて、実現の可能性をビジネスの実践の中で検証していくという意味合いです。単なる実験としてではなく、業務のひとつとしてPoCをとらえています。
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PoCの英語は『Proof of concept』
PoCは英語で『Proof of concept』と表記します。使い方も日本語と同じです。
以下のように使われます。
概念実証は実現できる可能性を測るために、見える形にする手法です。
概念実証を成功させる方法を知っていますか?
PoCとプロトタイプの違い
PoCは「プロトタイプ」としばしば混同されます。プロトタイプはすでにコンセプトの方向性が定まり、実用化を前提として「使用そのものに対して」検証されるものです。
一方、PoCは「コンセプト自体が実現可能か」を見極めるもので、プロトタイプとは似て非なります。PoCの結果によってはプロトタイプを作る話にまで至らないのです。
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PoCの使い方・例文
新しい企画などで使われるPoCですが、ビジネスシーンではいったいどんな会話で使われるのでしょうか。例文で見てみましょう。
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[おまけ]PoC貧乏とはどういうことか?
ビジネスシーンで『PoC貧乏』という言葉が自虐的に使われることがあります。これはPoCのためにコストがかさんでいって、何ら新しいサービスや製品開発まで到達しないのにもかかわらず、出費が増えて財政状況が苦しくなることを皮肉った言い回しです。
PoCの意味を知って活用しよう
聞きなれない言葉であっても、実際はPoC抜きでは新しいビジネスチャンスに多額の投資はできないのです。その重要性を認識して『PoC』というワードを使いましょう。