「造詣」とは「深い理解」という意味
ルネッサンス美術に造詣が深くていらっしゃるんですね!
自慢気にうんちくを語る上司や取引先の人をこのようにヨイショ。サラリーマンであれば誰しも経験があるはずです。
「造詣(ぞうけい)」の意味はある分野に対する「深い知識や理解」。習得するのに時間や労力がかかる学問や芸術、スポーツなどに長けていることに対しての表現です。
「造詣」の漢字の意味
「造詣」の「造」は「つくる」という意味で使われるのがほとんど。他には、「行き着く」「極める」という意味も。「詣」にも同様の意味があります。
こう考えると、表面的な知識や付け焼刃のテクに「造詣」を使うのはおかしいことがわかりますね。長年その分野を研究してきたり、携わってきたりすること・人に対してのみ使用します。
「造詣」を使用する分野
「近代スポーツ史に造詣が深い」「日本家屋の建築に造詣がある」など、学問や美術、専門技術などに対して「造詣」を使うことが多いです。
一方、「近所の居酒屋事情」「社内の派閥争い」など、ちょっと調べればわかるような知識、詳しくても尊敬されないようなことに対しては「造詣」は使いません。
「造詣」の類語
「造詣」は使える対象が限られていることがわかりました。使えない(使って違和感がある)分野に対しては他の表現に言い換えましょう。
・精通(せいつう) ・見識(けんしき) ・博識(はくしき)
「精通」とは
「精通している」というように「造詣がある」と同じような意味で使われるこの表現。
学問や芸術に限り使うことの多い「造詣」に対して、「精通」は広い分野に使うことができます。「近所の居酒屋事情に精通している」としても違和感がありません。
「見識」&「博識」とは
「見識」は「造詣」とほぼ同じ意味。言い換えて使うことができます。
・科学知識に造詣がある ・科学知識に見識がある
「博識」は特定の分野に限らず広い分野に知識があることを指します。
「造詣」の同音異義語
「造詣」と同じ読みの言葉に「造形」「造型」があります。こちらの「造」はそのまま「つくる」という意味。
「造形」も「造型」も「物をつくる」という意味ですが、2つにはちょっとした違いがあります。「造詣」とは関係ありませんが、確認しておきましょう。
・造形⇒自由につくる(芸術等) ・造型⇒型通りにつくる(模倣、金型等)
「造詣」の使い方・例文
「造詣」の言葉の意味がわかったところで、具体的な使い方も確認していきましょう。
・先生は作家でありながら美術にも造詣が深い ・大学ではロシア語を専攻し留学の経験もある彼女はロシアの文化にも造詣がある ・近代農業に興味を持ち造詣を深めるため、関連書籍を集める ・造詣がおありで感心しました
「造詣が深い」「造詣がある」といった使い方がほとんどです。
「造詣を深める」「造詣を深めたい」といった使い方もあります。
「造詣がおありになる」「造詣が深くていらっしゃる」といったように尊敬表現にすることも可能。
「造詣」を使う際の注意点
「造詣」を使った言い回しは限られています。変な使い方をして恥をかかかないようにしたいですよね。
「造詣がない」とはいわない
「造詣がある」とはいっても、「造詣がない」とはいいません。あえて「深い知識がない」と言わないとの同じ。単に「詳しくない」「専門外」などと表現すればいいでしょう。
「造詣」は自分には使わない
「造詣を深めたい」という使い方は例外として、「私は経済に造詣が深い」と自分に対して使うことはあまりないでしょう。尊大で嫌味に聞こえてしまいます。
日本語は謙遜する表現が多いので、どんなに自信があっても使わないように。
「造詣」の英語表現
「造詣」は英語ではどのように表現するのでしょうか。
He is well versed in art ⇒彼は芸術に造詣が深い
「be well versed in」で「造詣が深い」を表現しています。他にも「familiar」や「great knowledge」を使うことも可能。
「造詣」を生かして
仕事関連や長年の趣味、大学の専攻など誰にでも「造詣が深い」分野はあるでしょう。それを生かして人の役に立てることができたら最高ですよね。