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ジョブローテーションとは?導入例やメリット・デメリットを解説

ジョブローテーションとは『戦略的人事異動』

新人

この前、大学の同期が「2年目だからそろそろジョブローテーションで部署異動だ」と話していたんです。
うちの会社では導入していないけど、いろいろな部署のことがわかっていいよね。

上司

ジョブローテーションは、すべての企業が導入している制度ではないため聞き馴染みがない、意味を聞いてもイメージしづらいという人もいます。ここでは、ジョブローテーションとはどんな制度なのか、導入例やメリット・デメリットもあわせて解説します。

ジョブローテーションの意味をチェック

ジョブローテーションとは、人材育成を目的として、戦略的に社員の部門や職務上の役割を、ある一定の期間ごとに変えていく制度のことです。

社員にいろいろな部署を経験させて、それぞれの分野で職務経験を積み上げることで、事業に関わる広汎な知識を持つ社員を育てることを主な目的としています。

ジョブローテーションが生まれた背景

欧米の企業では、ジョブローテーションは一般的ではありません。国内企業が長らく採用してきた終身雇用制度に合わせて発展した日本独自の人事制度といえます。

ジョブローテーションの目的のひとつは、企業や事業に対する理解を深めることです。各部門で実際にどのような業務を行っているか、部署ごとの課題は何か、提供している商品やサービスの特徴などを、実際に働くことで深く理解できるようになります。

また社員は複数の部署を経験することで自身の力を最も発揮できる部署がどこかわかるので、会社としては適材適所の人員配置ができるという利点があります。

ジョブローテーションの英語は『job rotation』

ジョブローテーションは、英語では「job rotation」と表記します。意味は、日本で使われているものと同様です。

■ジョブ[職務]ローテーション
■キャリア形成のために従業員の職場を転換していくこと

英語では以下のように使われます。

例文

The company I work at is undergoing a job rotation so next month my work duties will change.
私が勤務する企業はジョブローテーションを行っているので、来月から勤務部署が変わります。

ジョブローテーションと社内公募の違い

ジョブローテーションは、基本的に会社側が戦略を持って社員を異動させる制度です。一方、社内公募は会社がポストや役職を用意して、希望する社員が手をあげる制度のこと。

会社側の戦略によって行われている人事異動であるか、社員側が希望する人事異動であるかがジョブローテーションと社内公募の異なるポイントです。

ジョブローテーションの使い方・例文

ジョブローテーションの日常会話での使い方を見てみましょう。例文を紹介します

例文1

先輩

君もこの部署に来て1年か。そろそろジョブローテーションのタイミングだね。
そうですね。今度は営業に行く予定です。

新人

先輩

営業は大変だけど、成長できる部署だから頑張ってね。
はい!頑張ります。

新人

例文2

新人

ジョブローテーションで営業を経験させてもらったからこそ、お客さんの生の声を聞くことができました。これを商品開発に活かせるように頑張ります!
営業は大変だけど、学ぶことが多いよね。営業の人の苦労もわかったんじゃない?

先輩

新人

はい、営業の人がアピールできるような商品を作らないとですよね。

ジョブローテーションのメリット・デメリット

従業員にいろいろな部署の仕事を経験してもらうジョブローテーションには、いくつかのメリットがある一方、デメリットもあります。導入する際には、メリットだけではなくデメリットもきちんと把握しましょう。

【メリット】
・適材適所の人材配置ができる
・従業員同士のネットワークを構築できる
・現場を知る幹部を育成できる
・従業員のモチベーションを維持できる

【デメリット】
・スペシャリストを育成しにくい

新人

メリットばかりに思えたジョブローテーションにもデメリットはあるんですね。

日本におけるジョブローテーションの導入事例

ジョブローテーションを採用している国内企業での導入事例を見てみましょう。

1.現場業務を経験させて仕事への理解を深める

宅配業者大手A社では、ジョブローテーション制度の一環として、本社に採用された若手社員に配送物の集配や営業などの現場仕事を経験させています。現場の仕事を経験することで、現場業務をどのように支えていくのか、本社の仕事が現場にはどう役に立っているかを深く理解することができるのです。

2.自身の適性を見つけてもらう

大手自動車メーカーB社もジョブローテーション制度を採用しています。複数の部門を経験することで、社員に自分の適性を見つけてもらうことが目的です。

3.様々な業務にあたり視野を拡大させる

大手精密化学メーカーC社では、若手社員を対象にジョブローテーション制度を採用しています。3年間におよぶジョブローテーション期間中に、社内のさまざまな部門を経験させ、幅広い視野を持った人材へと育成することが狙いです。

[おまけ]ジョブローテーションが向いている企業

ジョブローテーション制度は、導入に適している企業とそうでない企業があります。ジョブローテーションに向いていない企業が無理に導入しても、本来のメリットを享受できないばかりか、思わぬ不利益を被る可能性がありますので、注意してください。

【ジョブローテーションに適している企業】
・従業員数の多い大企業
・部門間の連携が大きく業績に影響する企業
・業務を遂行するために幅広い知識が必要な企業
・合併やM&A後など、企業文化を醸成したい企業

【ジョブローテーションに適していない企業】
・従業員の少ない中小企業
・業務を遂行するために専門的な知識やスキルが必要な企業
・知識やスキルを得るのに長い期間を要する企業
・長期プロジェクトがメインの企業

ジョブローテーションには向かない企業もあるから、導入は慎重に判断する必要があるんだ。

上司

ジョブローテーションを導入するなら慎重に

ジョブローテーションは、メリットの多い制度ですが、デメリットもあります。また、従業員数の多い大企業では取り入れやすい制度ですが、従業員数の少ない中小企業には向いていません。

ただ、M&A後に企業文化を醸成するために、ジョブローテーションを採用したいという中小企業もあるかもしれません。導入するのであれば慎重に判断することが必要です。