サバティカルとは『使用目的に制限のない長期休暇』
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サバティカル(サバティカル休暇)とは、一定期間勤続した社員や優秀な成績を上げた社員に与えられる長期休暇を表す言葉です。近年、行政が推進している働き方改革とも密接に関係しており、会社勤めをしている人には今後さらに身近な言葉になるでしょう。
この記事では、サバティカルの使用例、導入された歴史や背景を解説します。この機会にぜひ理解を深めてください。
サバティカルの意味をチェック
サバティカル(サバティカル休暇)は休暇の使用目的に制限がないのが特徴です。
通常の休暇は、取得する際に休む理由を報告する義務のあるケースがほとんどですが、サバティカルでは休みをどう使うかが各自の自由のため、理由を報告する必要がありません。
ただし国内企業の場合は導入の仕方にさまざまなパターンがあり、あくまでもスキルアップのための休暇と位置づけられることもあります。
『サバティカル』という言葉は、それ自体が『休み』というニュアンスを含んでいます。そのため意味はやや重複しますが、日本ではわかりやすさを重視して『サバティカル休暇』と呼ばれることが少なくありません。
サバティカル休暇の歴史
サバティカルは19世紀末から始まりました。もともとは大学教員に対して与えられた研究のための長期休暇が起源というのが通説で、1880年にアメリカのハーバード大学で導入されたのが最初といわれています。
その後、サバティカル休暇は欧米各国で大学から企業へと広まりました。
日本におけるサバティカル休暇の導入の流れ
欧米では仕事は人生の一部分にすぎないという考え方が一般的であるため、サバティカル休暇はすみやかに普及しました。
日本では長年、「会社ひとすじ」の生き方が美徳とされてきた背景があります。しかし近年、豊かな人生を送るためには仕事と生活のバランスを取ることが大切だという考え方が主流になってきました。
そんな折、2018年3月に経済産業省の有識者研究会による報告書でサバティカル休暇制度の導入を企業に呼びかける動きが本格化し、『サバティカル』というワードがますます注目されるようになったのです。
サバティカル休暇のメリット
サバティカル休暇のメリットを3点、紹介しましょう。
1.リフレッシュできる
長年にわたって会社勤めをしていると、心身ともに疲弊してしまうケースも少なくありません。長期間の休暇を取ることで精神的にも肉体的にもリフレッシュできるのは大きなメリットです。
この期間をスポーツなどの運動にあてることで、健康維持や体力増強の効果も期待できます。
2.スキルアップが期待できる
サバティカル休暇を学びの期間にあてることで、スキルアップを図ることができます。自身を見つめ直す時間ができることでキャリアアップへの道も開けることでしょう。
3.プライベートが充実する
欧米ではサバティカルを別名『ガーデニング休暇』と呼んでいます。これは、欧米にはガーデニングの趣味を持っている人が多いことや、長すぎて庭いじりくらいしかやることがないということから俗称として使われるようになりました。
1か月以上にわたってとる人もいるので、趣味の充実を図ったり、家族と旅行したりと、プライベートの時間を充実させることができます。
サバティカル休暇のデメリット
サバティカル休暇のデメリットとしては次の2点が挙げられます。
1.休みの気分が簡単に抜けない
復帰時に、仕事モードのスイッチがすぐには入らないケースが多々あります。仕事の勘が戻らない、集中力を維持できないなど、通常のペースを取り戻すまでに時間がかかるケースも。
2.仕事の引継ぎに手間がかかる
休暇中は自分の仕事を誰かに引き継ぐわけですが、スムーズにいかないケースもあります。また、逆に復帰する時点でほかの人間が担当した業務を引き継ぐことになるため、ここでも手間がかかります。
サバティカルの英語は『sabbatical』
サバティカルの英語表記は『sabbatical』です。
■サバティカルリーブ
■長期有給休暇、特別研究期間
■安息日の
もともとの語源は、聖書に出てくる『sabbaticus』というラテン語。この言葉には『安息日』という意味があり、『何もしてはいけない日』という宗教上の戒律から転じて、『何もせずに休む日』、すなわち『休暇』という流れでサバティカルの語源になりました。
英文では以下のように使われます。
My colleague is on sabbatical for two months.
私の同僚は2か月間のサバティカル休暇中です。
サバティカル休暇とロングバケーションの違い
サバティカルとロングバケーションにはどちらも『長期休暇』という意味がありますが、大きな違いは制度的な意味合いがあるかどうかということです。ロングバケーションは休みそのものを表す言葉ですが、サバティカルは企業や組織が導入した制度というニュアンスが伴っています。
ロングバケーションと表現した場合は、人によっては後ろめたい気分になることもあるかもしれません。一方、サバティカルという言葉を使うと、正当に獲得した権利の行使というニュアンスが鮮明になるので、心理的にも負担が少ないというメリットがあります。
サバティカルの使い方・例文
最近、よく聞くようになった『サバティカル』という言葉は、ビジネスの現場ではどのように使われているのでしょうか?例文を見ていきましょう。
例文1
上司
例文2
新人
例文3
上司
[おまけ]サバティカル休暇を導入している国内企業
いろいろなやり方でサバティカル休暇を柔軟に取り入れている企業は増えています。また、全国各地の大学でも教員の研究期間の確保を目的として、サバティカル休暇を導入しているケースが数多くあります。ここでは国内企業がどのようにサバティカル休暇を取り入れているか、具体的にご紹介します。
1.勤続10年以上で2~3か月の休暇を付与
IT企業大手A社は日本国内では2013年からサバティカル制度を積極的に導入しています。条件は勤続10年以上、休暇の期間は2~3か月と長めです。
2.独自のキャリア休職制度を導入
ハードウェアからソフトウェアまで幅広く手がけている総合企業大手S社では一般的なサバティカル休暇よりも自由度の高いキャリア休職制度を取り入れています。留学などによる最長5年の休職を認める制度で、社員の事情や希望に添えるように、さまざまなバリエーションが用意されています。
この他にも、アプリやムービーの制作をしているB社では1年間のうち11か月働いたら1か月休むというサイクルで、サバティカル休暇をさらに大胆に推し進めた休暇システムを作っています。
サバティカルを有効活用しよう
サバティカルは導入されてからまだ歴史が浅いですが、実際に活用した人たちの感想には「じっくりと勉強できたので、仕事に必要な専門知識を深められた」「定年退職後の予行演習になった」「長年やりたかった趣味ができた」などとプラス面が大きかったという評価が目立ちます。
長期の休暇ではリフレッシュできるとともに、自分の勤務している会社を外部から見直すことで、新たな発見に繋がるメリットがあります。単なる『休暇』ではなく、長期的な『サバティカル休暇』だからこそ見えてくることもあるはずです。
今後の人生をより豊かなものにするためにも、サバティカルを有効活用しましょう。