「二足のわらじ」はあまりいい意味の言葉ではない
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上司
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最近では、ひとりの人が複数の仕事を掛け持ちするのは、別に珍しい事例ではなくなっています。
掛け持ちという意味で「二足のわらじ」を使っている人も増えていますよね。
しかし、本来の「二足のわらじ」は、あまりいい意味の言葉ではありません。「二足のわらじ」について学び、社会人としてレベルアップしましょう!
「二足のわらじ」の意味は「両立できない職業の掛け持ち」
「二足のわらじ」は、江戸時代に生まれたことわざ。「二足のわらじを履く」というのが本来の言い方で、それを略したものが「二足のわらじ」です。
江戸時代には、ばくち打ち(現代のやくざみたいな人)が、そのばくち打ちを取り締まる捕吏(現代の警察官)を兼ねる場合がありました。やくざと警察官を掛け持ちするのは、かなりの無理がありますよね。
わらじというのは、現代でいうところの靴。靴を二足重ね履きするのが無理なのと同じくらい、無理な掛け持ちをしているというのが「二足のわらじ」の本来の意味です。
「二足のわらじ」にはマイナスのニュアンスがある
やくざが警察官を掛け持ちするのは、非常に難しいし、本来あってはならないことですよね。
「二足のわらじ」には「そんな掛け持ちやったらダメでしょう!」というニュアンスや「そんなに無理してどっちつかずになるんじゃないの?」という疑いの気持ちも込められています。
「二足のわらじ」の使い方・例文
「二足のわらじ」は、両立に無理のある掛け持ちという意味でしたね。あまりいいニュアンスではないので、会議や打ち合わせなど、真剣な会話の中に差し込む言葉には向きません。
ビジネスシーンで「二足のわらじ」を使うとしたら、休憩中や仕事の合間の雑談がおすすめ。
「二足のわらじ」の使い方を例文でイメージしてみましょう。
元上司
元部下
元上司
新人
上司
「二足のわらじ」の類語
「二足のわらじ」は、無理のある掛け持ちという意味です。そのため「二足のわらじ」といった場合、相手がよくない印象を抱いてしまう恐れがあります。
気心の知れた間柄なら大丈夫かもしれませんが、あまり親しくない相手に「二足のわらじ」を使うのは少し心配ですね。言い換えできるように「二足のわらじ」の類語も覚えておきましょう。
兼務:本務のほかに別の職務を兼ねること
二刀流:異なる2種類のものを同時にうまく使いこなすこと
二役:ひとりで2つの役を兼ねること
これらの言葉には「掛け持ち」という意味はありますが「無理のある」というニュアンスはありません。
「二足のわらじ」の英語表現
英語にも日本語の「二足のわらじ」のような言い回しがあります。
double-jobbing:仕事の掛け持ち
wear two hats:ひとりで2つの役目を兼ねる
many irons in the fire:二足のわらじ
be engaged in two trades at the same time:二足のわらじをはく
have one’s fingers in two pies:二足のわらじをはく
2つでは足りずに「あれこれたくさんのことに首を突っ込む」といいたいときには「have one’s finger in (too) many pies」という表現が使えます。
「二足のわらじ」は相手と状況を選んで使おう
お笑い芸人が社長業を掛け持ちしていたり、歌手が歯科医を掛け持ちしていたり。
「二足のわらじ」で立派に活躍している有名人も少なくないためか、抵抗なく会話に「二足のわらじ」を用いる人も増えています。
しかし「二足のわらじ」は、本来あまりいいニュアンスのことわざではありません。「二足のわらじ」を使用するのは、使って大丈夫なシチュエーションかよく見極めてからにしましょう!