「所在ない」とは「暇」という意味
「所在なげに机の上の書類を見つめている」。やることがなくてボーっとしているだけなんですが、ちょっと文学的に聞こえますよね。とはいえ、おしゃれに表現したとしても、仕事中にボーっとしていれば注意されるのに変わりありません。
「所在ない(しょざいない)」の意味は「やることがなくて退屈」ということ。日常会話やビジネスシーンでは使うことはあまりないかもしれませんが、小説等ではよく見かける表現です。教養として知っておきましょう。
「所在」の意味と誤用
「所在」の意味はご存知でしょうか。「所在地」や「彼の所在」といったように「人や物が存在すること」を意味する言葉。
「所在」の意味を踏まえれば「所在ない」は「存在しない」のような意味になりそうなもの。実際に、「所在ない」を「居場所がない」という意味だと勘違いしている人もいるようです。
しかし、「所在ない」にはそのような意味はありません。「所在」にはかつて「すること」という意味もあったとかなかったとか。なぜこの意味になったのか、由来ははっきりしませんが、「所在」と「所在ない」の違いはしっかり覚えておきましょう。
「所在ない」の使い方・例文
「所在ない」の使い方を例文で見ていきます。
・退職してから所在ない日々を過ごしている ・所在ない様子で行ったり来たりしている ・所在なく空を見上げる ・所在なげにあくびをした ・所在なさげな顔
「所在ない」はこのように、名詞の前で形容詞的に使われることが多いようです。「休みの日だから所在ない」といった動詞としての使い方はあまり一般的ではありません。
所在ない様子・雰囲気という意味で、「所在なげ」「所在なさげ」もよく見かける表現。「所在なさげ」はもともとは誤用ですが、問題なく使うことができます。
「所在ない」の類語
「所在ない」はどのような表現に言い換えることができるでしょうか。いくつか類語表現を集めました。
・手持無沙汰(てもちぶさた) ・退屈(たいくつ) ・時間を持て余す など
どれも日常的に使える表現ではないでしょうか。「所在ない」にあるような文学的な響きは特に感じられません。
「所在ない」の英語表現
「所在なげ」、つまり、「暇そうな様子」を英語で表現してみましょう。
Since leaving the job,he looks bored ⇒その仕事を離れてから、彼は所在なげにしている(暇そうにしている)
「he is idle」として「何もしないでいる=所在なげ」と表現することもできます。
「所在」と「所在ない」の違いだけでも
「所在ない」は文学作品の中くらいでしか見かけないかもしれません。ですが、最低限「所在」と「所在ない」の違いは覚えておいてください。