「施行」とは「実行すること」
「施行(しこう)」は法律関係の話題で多く使われていますが、他の分野にも登場する言葉です。「施行」の意味は「実施すること」。
「施行」には「しこう」以外にも読み方があります。これだけであればさほど難しくはないのですが、あえて読み方を変える理由があったり、似たような字面の言葉があったりといろいろ複雑…。
「施行」に関するあれこれをまとめて押さえておきましょう。
「施行」の使い方
まずは「施行」の複数ある読み方とその意味を見ていきましょう。
・しこう ・せこう ・しぎょう ・せぎょう
「施行」は「しこう」と読むのが一般的ではあるものの、他の読みも大いに使われている言葉です。それぞれ解説していきます。
「施行(しこう)」の使い方・例文
施行(しこう)はもっとも広く使われている読み方。法令を実行する際などに使用されています。
・条例の施行(しこう)に伴い、内容を周知するイベントが催される ・規則の一部を改正する省令の施行(しこう)の知らせ ・今は結婚式の施行(しこう)の多い時期だ ・2度目の手術が施行(しこう)される
このように法令が実施されることを「施行(しこう)」といいます。他にも、結婚式や手術が行われることに対しても「施行(しこう)」が使われます。
「施行(せこう)」の使い方
「施行(せこう)」は「しこう」と読む場合と意味は同じです。では、なぜ読み方が違うのかと言うと、他の言葉と区別を付けるため。
「施行(せこう)」は、法律関係者が「執行(しっこう)」と区別をつけるために使います。
「執行」も執り行うという意味で「施行」と近い意味の言葉。法律用語では刑や処分を行うことを「執行」といいます。
「施行(しぎょう)」の使い方
「施行(しぎょう)」も「しこう」と読む場合と意味は同じ。役所関係の人が「施工」「執行」と区別を付けるために使うことがあります。
「施工(せこう・しこう)」は「工事を行う」という意味です。
「施行(せぎょう)」の使い方
「施行(せぎょう)」は「しこう」と読む場合とは全く関係ない意味を持ちます。「施行(せぎょう)」は仏教用語で「施し(ほどこし)」を行うこと。
読み方まとめ
「施行」の4つの読み方を紹介してきました。分類すれば難しいことはありません。
「しこう」「せこう」「しぎょう」の意味は同じです。誤認を防ぐためにあえて読みを変えています。特に区別する必要のない場合は「しこう」を使いましょう。
「施行」の類語
「施行」と似た表現にはどのようなものがあるでしょうか。
・実施(じっし) ・公布(こうふ) ・施工(せこう・しこう) など
「実施」は「施行」と同じく「実行すること」を意味します。法律関係以外でも見かけることが多い表現です。
「公布」は法律用語で法律や政令を周知させること。日本の法令は原則、一定の期間「公布」された後に「施行」されます。
「施工」は「工事をする」という意味ですが、「施行」と混同しやすい言葉。「せこう」とも「しこう」とも読むことができますが、「施行」と区別するために「せこう」と読まれるのが一般的。
法律関係の話題の場合、用語が決まっていることが多いです。あえて「施行」を言い換える必要はないでしょう。
「施行」の英語表現
法律を「施行」すると表現したい場合、「enforce」が使えます。
・The government has enforced the law. ⇒政府はその法令を施行した
業界で読み方が違う
「施行」は基本的には「しこう」と読み、区別したい場合に読みを変えます。業界で読み方が変わる面白い言葉。人によって読み方が違っても混乱しないようにしましょう。