「公告」「公示」「告示」は公共機関からのお知らせ
「広告」じゃなくて「公告」?それに「公示」?「告示」?見慣れない文字列…。あれっ、「告」の字ってこんな漢字だったっけ… 「広告」は「商品やイベントなどを宣伝する」という意味でおなじみですが、「公告(こうこく)」「公示(こうじ)」「告示(こくじ)」はご存知でしょうか。 行政や公共機関と取引のある企業であれば使うかもしれませんが、それ以外の人にとっては何が何やらわかりませんよね。 パッと見では、どれも同じような文字の並び…。違いを見分けるため、よく見ていると文字が字として認識できなくなってくるかも(ゲシュタルト崩壊)。 「公告」「公示」「告示」は、どれも「公共機関からのお知らせ」を意味する言葉です。文章でこれらの言葉が使われていたら、この認識でとりあえず大丈夫。 問題は自分で使うときですよね。これらの違い、類語、英語表現など詳しく解説していきます。 「公告」「公示」「告示」は、どれも「公共機関からのお知らせ」と前述しました。ここでいう公共機関には、行政だけではなく、多くの人が利用する民間機関も含まれます。具体的には以下のもの。 ・省庁や都道府県、市町村の役場 ・銀行や信用金庫 ・学校 ・病院 ・新聞社やテレビ局などのマスコミ ・電力会社、水道局などのインフラ など このような公共機関が人々に向けて広く情報発信する行為を「公告」「公示」「告示」といいます。さて、肝心の違いですが、“誰が”情報発信するかによって使い分けます。 公告⇒行政機関、公共機関の他、民間企業の私人 公示⇒行政機関、公共機関 告示⇒行政機関 「公告」「公示」「告示」の順で情報発信できる主体が限られてきます。 もっとも主体が広い「公告」は、私人が情報発信する際も使用できますが、その情報は公的なものでなくていけないので注意。 ・東京都において発行するA新聞に掲載する方法により公告を行う ・国土交通省土地鑑定委員会が1月1日時点の標準地1平方メートルあたりの価格を公示する ・市が指定地域密着型サービス事業者の告示を発表する 選挙に関するニュース等で「公示」「告示」が使われているのを見聞きした人もいるでしょう。選挙時の使用は厳密に違いがあるので注意が必要です。 公示⇒衆議院の総選挙、参議院の通常選挙。天皇陛下が実施を宣言 告示⇒衆参の補欠や再選挙、地方自治体の選挙。選挙管理委員会が実施を宣言 つまり、衆参の大きな選挙が「公示」、それ以外の選挙が「告示」です。選挙における「公示」と「告示」の違いは間違いやすいので注意してください。 「公告」「公示」「告示」は専門的な場面での使用が多いので、そのまま覚えておけばいいでしょう。特に選挙においては明確に指定されており、言い換えは間違いになるので注意。 とはいえ、これらに似たような意味の言葉はあります。 ・通知(つうち)⇒相手に知らせること。公的な意味を含まない ・通告(つうこく)⇒公的に情報を伝えること。命令的な意味合いが強い ・通達(つうたつ)⇒主に行政機関において上から下の機関へ出す命令 この中で普段の会話でも使えるのは「通知」ぐらいでしょうか。結婚式の通知、合格通知など。それ以外は意味が限られてくるので普段使いはできません。 「公告」「公示」「告示」を単純に英語に訳するのは難しいです。というのも、日本におけるこれらの違いと同様、各国でも法令の違いがあるため。あえて訳すとしたら「public announcement」「public notification」でしょうか。 「公告」「公示」「告示」を文書等で目にした際は、単に「お知らせ」と頭の中で変換して構いません。しかしながら、自分で使用する際はそれぞれの違いを踏まえて使い分ける必要があります。特に選挙関連では明確に違いがあるので気をつけましょう。「公告」「公示」「告示」の違い
選挙における「公示」「告示」
「公告」「公示」「告示」の類語
「公告」「公示」「告示」の英語表現
違いを知って使い分けよう