「おかげさまで」はへりくだって感謝を述べるビジネス枕詞
お礼の枕詞として使われる「おかげさまで」とは、相手にへりくだって感謝を述べる際に使うビジネス枕詞です。上司やクライアントに対し、本題に入る前の枕詞として使うことで相手に好印象を与えることができます。人間関係を円滑にするためのビジネスマナーのひとつとして、覚えておきたいですね。
ビジネス枕詞とは、本題の前に使用することで口調を柔らかくし、話を進めやすくするためのビジネスシーンで使われるクッション言葉のことを指します。ビジネスシーン以外にも日常会話で目上の人に対して使うことができる言葉です。
・お力添え
・ご後援
・ご援助
「おかげさまで」の意味・語源・メリットを解説
なぜ、お礼を言う際に「おかげさまで」という言葉をつけるんだろう?と、考えたことはありますか。感謝の言葉は単体でも意味や思いを十分伝えることができます。あわせて使うことに、それなりの意味があるということです。
そこでここでは、日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われている「おかげさまで」の意味や語源、使うことによるメリットについてご紹介します。
「おかげさまで」の意味
「おかげさまで」とは、他人からの力添えや助けなどに対する感謝を意味する言葉です。物事に成功したことや利益、協力を受けたことへの感謝の意を表す際に使います。
「おかげさまで」の語源
「おかげさま」は、「おかげ」と「さま」があわさってできた言葉で、漢字で書くと「お陰様」の表記になります。
漢字で書いたときの「陰」とは、神仏などの偉大な存在の陰を示しており、「神仏の陰の下で庇護を受ける」ことと、神仏の敬称である「様」をつけて「お陰様(おかげさま)」と表記されるようになったといわれています。
本来は「利益や成功があったことを(神仏から)恩恵を受けた」という意味で使用されていた言葉です。
「おかげさまで」をビジネスシーンで使うメリット
相手へのお礼に「おかげさまで」を使うことで手軽に感謝の気持ちを表現することができ、「あなたのお力に助けられました」と謙虚な姿勢と協調性を示すことができます。
このように「おかげさまで」を使い、相手に好印象を与えることで人間関係がスムーズになるというメリットがあります。
「おかげさまで」の使い方
謙虚な姿勢で相手に感謝の意を示すことができる「おかげさまで」は、人間関係を円滑にしたいときに活用できる言葉のひとつです。また、ビジネスシーンだけではなく日常生活など、使えるシチュエーションが多い言葉ともいえます。
「おかげさまで」を使った例文
ビジネスマナーのひとつとして覚えておきたい「おかげさまで」を使う場面はメールでのお礼やお祝いの言葉への返答、相手から気遣いを受けたときです。ビジネスシーンで「おかげさまで」を使う際の例文をご紹介します。
メールでお礼の気持ちを表す際に使う「おかげさまで~」の例文
相手と直接顔を合わせるのと違い、ニュアンスが伝わりにくい文字や文面で自分の気持ちを表したいときには「おかげさまで」を使うのがおすすめ。控えめながら相手を思っていることを一言で表すことができ、好印象を与えるのに効果的です。
「おかげさまで事なきを得ました。」
何気ない文章にも一言「おかげさまで」を付け加えるだけで、相手に与える印象がぐっと良くなります。
感謝の気持ちを込めて使う「おかげさまで〇周年~」の例文
セールなどの宣伝文句などでも使われている「おかげさまで〇周年」という表現は、事業や運営が順調だからこそ、使うことができます。「周りの支えがあってこその成功です!」という、感謝の気持ちを表現したいときには「おかげさまで」がうってつけの言葉だと覚えておきましょう。
「おかげさまで〇周年を迎えることができ、皆様には心より感謝申し上げます。」
応援・協力してくれた人達への感謝の意を強調するなら、「おかげさまで」の前後に感謝の言葉を入れると気持ちがより伝わりやすくなります。
ビジネスシーンでも使える!体調の気遣いに対する「おかげさまで元気です」の例文</ h4>
自分の体調を気遣ってくれた人に対する返事での「おかげさまで」は、それだけで使うと不躾な印象を与えてしまい失礼に当たります。気遣ってくれた相手には、自分の体調が快復していることを伝える言葉を付け加えて返答するのが適切です。
「おかげさまで風邪が治り、好調です。」
このように相手の気遣いに対して、好印象を与えるように返答することが本来のビジネス枕詞の正しい使い方になります。例え相手が自分に対して何もしていなくても「おかげさまで」を使うのは、「巡り巡って相手に支えられている」という日本独自の謙虚な姿勢に由来しているのでしょう。
社会人必見!ビジネスで使える「おかげさまで」を使った例文
ビジネスシーンでの上司や取引先との人間関係は重要です。ここでは、上手にビジネスパーソンとコミュニケーションを図るために使いたい「おかげさまで」の例文を見ていきましょう。
・新社会人が仕事に慣れ始めてきたとき
・上司にクライアントとの連絡を報告するとき
・仕事で成功したとき
このように上司などの目上の人に良い報告をするときに、「おかげさまで」を使うと好印象を与えることができます。
「おかげさまで」の類語(言い換え表現)
他人から恩恵を受けたことへの感謝の意味を持つ「おかげさまで」の類語には、 自分を支えるという意味の「お力添え」「援助」「支援」などが挙げられます。
いずれもサポートと同じ意味を持つ言葉として、上司やクライアントに対するビジネスシーンでの言い回し表現として使うことができます。
「お力添えで」
他人の協力を受けたことで物事が好転したことについての感謝の言葉として使用します。
「ご援助/ご支援」
「力添え」と同じくサポートを意味する「援助・支援」を尊敬語で表現し、受けたことを謙譲語の「賜る」に言い換えた言葉です。より丁寧な言葉で相手からのサポートに感謝するときに使用します。
「おかげさまで」は「お陰様で」と漢字で表記するほうが良い?
文字で表現するメールでの「おかげさまで」は少々カジュアルな感じとなるので、フォーマルな印象を与えたいときは「お陰さまで」とするのが適切です。
相手との距離感や関係性に合わせて「お陰様」・「お陰さま」・「御陰様」を使い分けることで自分の気持ちを効果的に表すことができます。
「御陰様で進捗状況は良好です。」
漢字と平仮名を使い分けるだけでも文字から相手に与える印象が変わります。平仮名を混ぜた方がフォーマルな印象を残しつつ、相手に柔和なイメージを与えられます。
好印象が与えられる「おかげさまで」を使いこなそう!
社会人になれば上司や取引先の相手、ビジネスパーソン以外にも社内外で多くの人と出会う機会が増えていきます。
出会う人達はそれぞれ、何かしらの形であなたをサポートしてくれています。感謝の気持ちを忘れない謙虚な「おかげさま」を使いこなして、人間関係を円滑にしていきましょう。