フットインザドアとは『段階的要請法』のこと
先輩
新人
先輩
フットインザドアを、上の会話の新人くんと同じように解釈をしている人はいませんか?正しくは、『段階的要請法』の意味で、人間心理を利用した交渉テクニックのひとつとして広くビジネスシーンで使われる言葉です。
特に営業やマーケティングに関わる仕事をする場合は、必ずと言ってもいいほど登場するビジネス用語なので、しっかり覚えていってください。
フットインザドアの意味をチェック
フットインザドアは販売戦略のひとつと言えるため『マーケティング用語』として広く知られています。しかし、人の心理に働きかけるビジネス上の手法であることから『ビジネス心理学用語』として紹介される場合もあります。
それでは、厳密にはどのような意味をもつ言葉なのでしょうか。英語での表現も含めてチェックしておきましょう。
ビジネス用語のフットインザドア
フットは『足』、インザドアは『ドアの中』ですよね。この言葉は、営業マンが訪問し、「ドアの前で断られたらおしまい!ドアの中に足を入れることができれば成功につながる!」というセールステクニックから発展したものです。
たとえば、「この商品を買ってください」と訪問しても、必要ないものであれば門前払いでしょう。しかし、「こんないい商品が出たんですが、説明だけでもさせてもらえませんか?」と始めれば、話を聞いてくれる可能性が高くなります。
つまり、いきなり大きな要求をされたら拒否したくなるけれど、小さな要求のあとに大きな要求をすると受け入れやすい、という人間心理を利用した手法を『フットインザドア』といいます。
フットインザドアの由来は英語の『foot in the door』
フットインザドアの由来は英語の『foot in the door』で、直訳すると『ドアの中の足』となります。しかし、英語圏において、『foot in the door』はこのような表現で使われています。
get one’s foot in the door.
→足がかりをつかむ。
I need to get my foot in the door.
→とっかかりをつかむ必要がある。
フットインザドアテクニックの実例
フットインザドアが有効であることは、心理学的にも『一貫性の法則』から説明が可能だとされています。
一貫性の法則とは、『自身の行動・態度・信念に一貫性をもたせようとする無意識の心理』をいいます。
もう少し簡単に説明すると、「あの人は言ってることや、やってることがコロコロとよく変わるよね」と他人から思われたくないという心理が無意識に働くこと、となります。
この法則を踏まえ、フットインザドアテクニックの実例を見てみましょう。
①ビジネス編
ビジネスでは、新規の顧客契約ができても、売り上げにつながらなければ意味がありません。そこで、購入確約を得たい場合のフットインザドアの例をあげてみましょう。
A社営業マン
B社担当者
A社営業マン
B社担当者
A社営業マンの本当の目的は、半年分の売り上げを確定させること。まずは少量である一ヵ月分の確約をもらい、最終的には半年分の購入確約が取れました。
②日常生活編
フットインザドアはビジネスシーンだけにあるものではありません。それでは、日常生活の中での例を見てみましょう。
営業マン
主婦
営業マン
主婦
営業マン
主婦
営業マン
主婦
営業マン
主婦
最初に訪問した際に置いていくのが、無料のモップと通常価格と『2年契約で10%OFF』と書いたチラシのみだったとします。
お試し後、『20%OFF』の価格を見ると、安いという感覚に陥りますよね。
さらに、継続するうえでの特典を同時に聞けば、お得感も倍増するため、「契約しようかな」と心理になりやすいです。
フットインザドアの逆は?対義語はコレ!
フットインザドアは、小さな要求から段階的に大きな要求にしていく手法です。
その逆で、本命よりも大きな要求を出し、徐々に小さな要求に下げていく手法を『ドアインザフェイス』といいます。
たとえば、量産のしやすい20万円のセキュリティシステムを販売したいとします。そこで、あえて100万円する最新の高性能機種を薦めてみます。たいていの場合は「高いな」と感じますよね。
そこから、50万の機種、30万の機種と下げて薦めていくと、20万円の商品が安く感じます。すると、「これくらいなら…」と思いやすくなります。この心理を利用するのがドアインザフェイスです。
フットインザイドアの対義語として、ぜひセットで覚えておいてください。
[ビジネス版]フットインザドアの使い方・例文
意味がわかれば『フットインザイドア』の用法は簡単だと思います。しかし、間違った使い方をしないよう、ここで例文を使って確認しておきましょう。
上司
[番外編]恋愛におけるフットインザドアとは?
気になる人がいたとしても、いきなり「デートしてください!」だと断られる可能性は高いですよね。
たとえば、相手が同じ会社の人であれば「ちょっと相談したいことがあるんだけど…」「この仕事ちょっと手伝ってくれない?」といった口実をつくって近づきます。話がはずんだら連絡先を聞き、仲良くなれば二人で会う、といった感じで段階を踏むとデートにも誘いやすくなります。
フットインザドアを身につけ営業力をUPしよう!
営業成績を大幅にあげるのは難しいですよね。自分なりの進め方がまだ見つかっていない人は、フットインザイドアを身につけ、ぜひ成績UPを目指してください。