「感心する」とは人の言動や物事に感動するってこと!
先輩
後輩
先輩
「感心する」とは、出来事に対して心が動かされたり、感動するさまをあらわす言葉です。例えば、日ごろの行いや心がけがよい人を「感心する」と褒める場合に使用します。
ただし、場合によっては「上から目線」と受け取られるケースがあり、誰にでも使っていい褒め言葉ではなく、使用の際は注意が必要です。
では、どのような相手やシチュエーションで使うのが正しいのかを確認していきましょう。「感心する」の類語・言い換え表現についてもあわせて解説します。
・舌を巻く
・感服する
・脱帽する
・瞠目する
など
「感心する」の意味と正しい使い方
褒め言葉である一方、不快感を覚える人もいる「感心する」は、使う場面を選ばないと失敗につながりやすいフレーズです。ここでは「感心する」の意味と正しい使い方をチェックしていきます。
「感心する」には「ほめ言葉」と「皮肉」の2つの意味がある
相手に不快感を与えてしまう理由には、「感心」が”皮肉”の意味をもっているからです。
・”心が動かされるさま”、物事に対して深く感じ入ること。「感動」「感服」
・あきれてびっくりするさま
【形容動詞】
・立派であると褒められる様子
褒め言葉としての「感心する」には、「感動」や「感服」の意味があり、”相手を評価する”意味合いがあります。この「評価する」が、「評価してやる」と上から目線として捉えられるケースが不快の原因のひとつです。
もうひとつの原因である「皮肉」の意味合いの場合、”あきれてものが言えない様子”を「感心する」とあらわします。つまり、”悪い意味で心が揺り動かされている”心境を「感心する」と皮肉っているのです。
自分の意図とは違う意味で受け取られる恐れがあるため、「感心する」を使う際には状況や相手を見極める必要があります。
「感心する」を目上の人に使うのはNG!
目上への「感心する」は悪印象を与えてしまう危険性のあるフレーズです。先述した「皮肉」の意味もそうですが、“評価して褒める”との意味合いが目上に対してもっとも失礼にあたります。
部下
課長
課長
部下
例文1と2を見比べてみると、同じ意味合いで使っているのに例文1のほうは不自然さが感じられます。上司が部下に対して”評価して褒めてあげたい”とするのは自然ですが、部下が上司にかける言葉としては失礼以外の何ものでもありません。
また、相手の状況によっては”嫌味で褒めている”と受け取られる恐れもあるので、「感心する」は目上以外の人への使い方も意外と難しいのです。
「感心する」の正しい使い方・例文
目上の相手に使うのは避けるべき「感心する」ですが、同格や目下相手には褒め言葉として使えるフレーズです。ここでは「感心する」の正しい使い方やバリエーションを例文でご紹介します。
「感心する」の基本的な例文
事柄や物事、相手が同格以下に対して使う場合の「感心する」の例文を見ていきましょう。
上司
部下
先輩
後輩
先輩
後輩
自分より下のもの、親しい間柄、日常会話レベルの軽口としても使用できます。会話のなかで気軽な褒め言葉として使っていきましょう。
「感心するばかり」
上司
部下
後輩
先輩
相手の行動や話、出来事に対して、“いつも感心させられているさま”をあらわす言葉です。別の言い方だと”感動しっぱなし”のフレーズに言い換えられます。
感心することしきり
「感心するばかり」の別の言い方に「感心することしきり」もあります。「しきり」とは繰り返している様子をあらわし、繰り返し「感動」「感心」させられてばかりいるさまを意味します。
部下
課長
部下
課長
「感心する」と「関心する」など同音異義語との違い
「感心」には同じ発音で意味が違う”同音異義語”がいくつか存在します。使い方を誤る人も多い「感心する」の同音異義語の意味を、それぞれ並べて見比べてみましょう。
・歓心する – 喜ぶ、嬉しいと思う気持ち。「歓喜」
・寒心する – 恐れを感じること。「恐怖」
「感心」の主な同音異義語には3つの言葉があり、それぞれ「~する」の使い方が可能です。見比べてみると「感心する」とは意味合いが異なるのがわかります。また、「感心」以外の3つの言葉には具体的な感情が示されています。
例えば、人の行いを見て「感心」しているなら、”なにに対して感心(感動)”しているのか明確ではありません。しかし、「寒心する」と表現しているなら、その人の行いに恐れを感じていることがわかります。
同音の言葉は意味を間違いやすく、状況によっては誤解を生みかねないケースがあります。相手にこちらの意図を口頭で確実に伝えるなら、「関心」であれば「興味」などの一般的に知られている表現で使い分けるのが無難です。
「感心する」の類語と例文
誤解を生みやすい言葉は別の言い換え表現、類語を使い分けてトラブルを回避するのが一番です。「感動する」や「感服する」に置き換えるのがポピュラーですが、それ以外の類語表現を例文でご紹介します。類語を押さえて目上の人とのコミュニケーションを円滑に図りましょう!
「舌を巻く」
“いい意味でびっくり”しているさまをあらわしており、「感嘆する」の表現としても使用されています。
部下
課長
後輩
先輩
脱帽する
「感服」や「敬服」を意味し、帽子を脱いで敬意を示す様子をあらわした言葉です。「敬意」の意味以外に「降参」の比喩としても使用できます。
部下
上司
部下
上司
瞠目する
「どうもく」と読み、目を見張って感動するさまを表現した言葉です。「感動」や「感服」、「舌を巻く」と同じ意味で使われます。
上司
部下
部下
上司
似た言葉に「刮目(かつもく)する」があり、こちらは”目を見張って注意して見るさま”をあらわします。
「感心する」の英語表現
「感心する」は日常会話はもちろん、ビジネスシーンにおいてもよく使われるフレーズです。
仕事をしていれば英語で表現しなければならない機会が訪れるかもしれません。そのときに備えてメールや会話での使い方を勉強しておきましょう。
admire
impress
と表現できます。
「感心する」の英語表現を使用した例文はこちらです。
⇒いつも仕事熱心で感心するね。
・I admire your hard work.
⇒一生懸命なのは感心するわ。
・I admire you for coming up with such a high quality plan all by yourself.
⇒クオリティの高い企画書を一人で作るなんて、とても感心するわ。
・I’m just impressed with your work attitude.
⇒君の勤務態度には感心するばかりだよ。
・I am impressed with the speed of your work.
⇒君の仕事の早さには感心することしきりだよ。
「感心する」は悪い意味ではないが目上には別の言葉を使おう!
「感心する」は褒め言葉ですが、上から目線に受け取られやすい危険なフレーズでもあります。敬語を交えても「褒めてやろう」のニュアンスが失礼にあたり、同格相手でも状況によっては皮肉に受け取られる恐れがあるので、使用の際には見極めが重要になります。
日常会話でも使われているので思わず「感心する」と口走ってしまいがちですが、ある程度の役職や身分でないうちは安易に使う言葉ではありません。ビジネスシーンで相手を褒めるときは、別の言葉に言い換えて意図を正確に伝えるのが無難です。
悪い意味ではないからと安易に「感心する」を使わず、目上に対しては必ず別の言い方を選びましょう!